トリスのメモ帳(78) 『視野・ダンス・勇気・笑顔』 嵐千砂都の魅力を語る

こんにちは、トリスです。

今日は『始まりは君の空』発売から1周年と言うことで、Liella!のメンバーのひとりである嵐千砂都の魅力について語っていきたいと思います。

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ラブライブ!シリーズの中でも類を見ない特殊な彼女について語りたいと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

 

【目次】

 

①爆弾処理


嵐千砂都は爆弾である。


スーパースター!!で新しく掲げられた『私を叶える物語』を特に体現しているのが嵐千砂都。シリーズとして楽しんでるファンほど驚く型破り展開を生み出した千砂都は、人気が高く唯一の魅力がたくさんあります。

でも同時に。

かなりファンの受け取り方に繊細さが求められるキャラクターでもあって。

一般的なアニメ作品に出てくるような型で当てはめて『ヤバい奴』『重い幼馴染』みたいな評価に落としてしまうと、彼女の中の大部分を見落としてしまので、澁谷かのんとの関係・感情に触れる前にどういう人間かをアニメに沿って順に見ていきたいと思います。

これは爆弾処理に近いと思うので、心していきましょう。

②嵐千砂都がどんな人間か


千砂都については、アニメ序盤でも恋・すみれとは別の意味で『どんな』人間かが見えにくくて。

1話ではかのんの幼馴染で音楽科として入学してる子って情報しかほぼなくて、初登場では歌に対して悩んでるかのんに深入りしないで、ただかのんの歌を自分は好きだと言うスタンスを示すに留まります。

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一方で、直後の入学式のシーンではかのんのことを心配そうに見ている描写があってどう言う状況か理解しにくいですね。

と言うのも。

今までだったらラブライブ!の基本的価値観ってのは『仲間と向き合うこと』『自分と向き合うこと』が中心にあって、千砂都がかのんのことを心配しているなら正面から助ければ解決への近道になるはずなんですよね。

でも、千砂都は明確にかのんの悩みを知った上でそこに踏み込まないムーブをしていて(ある面では可可と正反対で)、それが不正解ではないものとして描写されているっぽいってのが既存シリーズ視聴者からすると混乱するんですよね。

でも、そこで見せてる新しい価値観こそ『私を叶える物語』だと思います。

 

一方で、千砂都が意外なのはたこ焼き屋のシーンで、スクールアイドルを嫌ってる恋について言及しているシーン

『それにスクールアイドルあんまり好きじゃないって人も居て。
特に葉月さんなんかはこの学校に必要ないって……』
『葉月……もしかして、髪こうやって結んでる?』
『知ってるの?』

 

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初見時はここで『千砂都はかのんが知らないと思ってた人の話もし始めるタイプなのか?』と引っかかったんですが、千砂都はかのんの問題はかのん自身が向き合うべきだとしながらそのサポートは別に躊躇していないんですね。そして、話していること全てが別にかのんへのアドバイスとしての台詞というわけではない。

余談というか別作品になってしまうんですが、1話で主人公がスクールアイドルを始めた時にそれに反対する生徒会長が居るのを知りながら伝えなかった幼馴染が居たこととの対比の意味もあるのかなと少し思っています。(サンシャイン!!1話での渡辺曜

 

実際、2話からはダンスコーチとしては協力しています。

そして、6話回想では澁谷かのんがずっと歌うことを諦めずにいられたのは、千砂都が幼少期にぶつけてくれた想いがあったからと言うことも明かされます。

(可可の言葉もあるけれど)千砂都のおかげでかのんは歌えたし、千砂都のおかげで可可は踊れたので、ステージ上は2人でもTiny Starsは3人のステージだったと思います。

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ファーストライブでは楽曲『1,2,3!』でクーカーと千砂都が練習してる場面を切り取ってTiny Starsの場面に繋げたのも最高でした。

③他人への視野の広さ


3話まで千砂都を見た中での強いイメージで『ずっと人の顔を見ている』があって。

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他人の表情を見つめている時間が長く、”視野が広いキャラクター”というよりも”視野を広くしようとする意識が明確にあるキャラクター”です。

その上で一直線に自分のやるべきことと向き合える芯の強さが魅力

 

そして、過去回想の子供の輪から外れて丸を描いてる時から性格が大きく変わったと感じる点はたくさんありますね。

3話では歌えなくなったかのんに対してたこ焼きのバイト手伝いを提案するシーンを見てみましょう。

『レッツたこ焼き修行!
たこ焼きって作っている間見られていることが多いでしょ。
つまり、ずっとお客さんの視線を漢字ながら作業することになるワケ。
そのプレッシャーの中でちゃんとたこ焼きを作れるようになれば……』

 

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でもこれって、千砂都も同じ理由でバイトを始めてた可能性があって。

幼少期いじめられていた千砂都の特技が今では『初対面の子と仲良くなること』なのも、元々の苦手と向き合って進んできた時間を感じさせますよね。

たこ焼きのバイトを『マルが好きだから』『プレッシャーに対する特訓』として見ると高校入学から始めたのも納得出来るんですけど、貯めてたバイト代はアニメの展開次第では留学費用の足しになってた可能性もあったのが恐ろしいところです。

話を戻して。

千砂都は人の顔をずっと見ているんですけど、それって初対面の子と仲良くなる特技が後天的なことを表していると思うんです。

また、そんな千砂都は「幼少期かのんの笑顔を見て勇気をもらった」と言っているので、人の顔を見る行為にも千砂都がここまで成長してきた時間を感じますね。

④飽きが来ない季節


神津島『常夏☆サンシャイン』でステージに立つまでの千砂都を見ていきましょう。

この時の千砂都の一番大きな夢は『一人で出来ることを証明した上でかのんの隣に立ちたい』なんですけど、これって例えると、かのんとそれぞれの自転車で補助輪なしで走りたい、みたいなイメージで。

クーカーをサポートしたようにスクールアイドルとしてのかのんの活動に補助輪を貸すことはあるけれど、『歌』についてはかのん自身が補助輪なしで前に進まなければいけない(ここら辺が11話)だと思いますし、『ダンス』って舞台では自分が補助輪なしで走れなければいけない、って言ってるんですね。(※あくまで私の解釈)

で、そこの意味をスクールアイドルについても自覚するのが5話のSunny Passionとの問答だと思います。

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一応、6話のオチとしては千砂都にとってのかのんと同じように、かのんにとっての千砂都は『勇気(ペダルを漕ぐ力)』として一部だったみたいな感じです。

千砂都にとって、大事なキーワードのひとつが『勇気』なんですけど。

千砂都がなわとびを飛んだ時にかのんの笑顔から『勇気』を貰ったように、千砂都からかのんへ渡せていたものもあったんだって気づいたこと。

それがもう勝負とは別軸での夢が叶った瞬間であり、大好きな夢で一歩進めた瞬間の笑顔はかのんと同じなのも良いですよね。

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千砂都にとってはかのんは大きな存在なんですが、かのんが千砂都に夢を与えたかって言うと、厳密にはそれはちょっと違うと思っていて。

かのんに憧れた後の成長で幼少期とは色々変わったけれど、追いかけたいってアグレッシブなそもそもの姿勢は千砂都自身から溢れたもの。かのんはその蓋を開いたようなイメージ。

さっきの例えで言うなら、夢ってのは自転車が進む先でもあるけど、自転車自体でもある。幼少期のかのんが千砂都に与えたのは、ペダルを漕ぐ力の勇気を与えたのであって、夢自体は誰のなかにもあるって話だと受け取っています。

だからステージの下で見ているだけじゃなく、背中を押すだけじゃなく、一緒に走るこの瞬間を夢見ていたってのが6話でしたね。

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常夏☆サンシャインの自体の歌詞を見ていきたいんですけど、11話でのセリフを見ないと分からない比喩が幾つか混ざっているので、順に見ていきましょう。

 

『あの笑顔はね、元気になる笑顔。
安心して、勇気が出て、見ている人が心から嬉しくなる笑顔。
私の知ってるかのんちゃんはそんな笑顔を持っていたんだ』

 

キミが無邪気に笑うだけで
なんでもできる気がするのさ

 

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ひとつの微笑みが 大きな勇気をくれるね
ありがとう 心から 大切なMemories

 

11話で出たかのんの『笑顔』ってキーワードが、アニメ前半のMemoriesや挿入歌の歌詞と繋がっているのが分かりますね。

では逆に、かのんが歌えなくて悩んでいた間にも千砂都が返していた『勇気』を、かのん目線で見ていきましょう。

 

⑤雲の上はいつも晴れ

 

アニメ一期後に発表されたLiella!アルバム曲の中で、澁谷かのんの『青空を待ってる』は歌えなくて苦しんでる間の感情をテーマにしていますが、4話ですみれに共感している時のかのんの所作からもその過去は見え隠れしています。

少しだけ天気模様にも注目してみましょう。

『また……』

 

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『結局やまないか……』
『どうするの?すみれちゃん』
『うん、気持ちは分かるんだよね。私も歌えなかった時思ってたもん。
”そういう運命なんだ”って。”続けても無駄だ”って……』
『でも、そうじゃなかったんでしょ』
『うん……』

『じゃぁ、伝えないといけないんじゃない?
今、一番すみれちゃんを理解してあげられるのは……』

 

自分が貰った勇気を誰かに伝えること。

その道を進んできた千砂都だからこそ言えるセリフでもあるし、4話のテーマが雨雲で覆われて青空が見えない状態でも『雲の上はいつも晴れ』だってこともあります。

 

11話でのかのんに幼少期かのんと向き合わせる流れも、千砂都が誰より弱かった頃の自分と向き合ってきたからこそ言える言葉。

千砂都は自分がやりとげることで誰か(かのん)にも勇気を与えてきたと思います。

 

『誰かを支えたり、力になるためには、ちぃちゃんが頑張ったみたいに一人でやりとげなきゃいけないんだよね』
『……うん。それに一人じゃない』
『え?』
『居るはずだよ。あの頃のかのんちゃんが』

 

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幼少期の千砂都にとってはかのんの存在自体が星だったように、千砂都が全力で前に進むこと自体が、かのんへの応援のような意味も込められていて。

歌えなくて苦しむかのんへのメッセージはいたるところにあるように感じられます。

雲だってつきぬけ ジェット気流に飛び乗るのさ
今度は La・La・Lai 君の番だよ

 

勇気のカケラ 砕けたって絶対負けない
夢はいつも 輝くんだ 七色に

 

楽しい時の笑顔 胸の奥にしまっておけば
雨にうたれても花は 虹を信じて咲くよ

 

抱きしめていたDream Rainbow
目で見るだけじゃ もう足りないよ

 

千砂都の応援歌では雨の先にある虹を目指すコトバが多いですよね。

ソロ曲だけでなくパート分けにも意味が強いのは、このシリーズの特徴のひとつ。

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千砂都の一番大好きな魅力を言葉にするなら。

弱くて泣いてた過去の自分だったり。

青空を待つ澁谷かのんだったり。

彼女は誰より勇気を与える相手のことをイメージ出来ている人間だから、その応援歌に強い説得力が生まれるのが大好きなんです。


そういう意味ではLiella!の中でも『受け取る側』目線に立てる人間でもあって。

あとラブライブ!シリーズでは、成長をそれぞれの色んな形容(輝く・飛ぶ・走る)で表現することが多いのですが、それで言うと千砂都にとっての成長は『強くなる』が多い印象。

 

負けてもいいさ いつか悔しさが
踏み出すチカラになるから

 

弱くて色んなものに負けていた自分から変わりたいって初心は、千砂都の夢のスタートライン。その価値観は一期最終話でラブライブ!大会予選に負けた澁谷かのんにも伝播しているとも言えます。

『勝ちたい……。私、勝ちたい!
勝って、ここにいる皆を笑顔にしたい!』

 

強くなるんだ キミに誓うよ!!

 

強くなれるんだ (もっとなれるんだ)
はじまりの音 胸に響くよ

 

この時が続いてゆくように
もっと強くなる

 

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こう言ったメッセージが物語を受け取るファンにも強く響くからこそ、嵐千砂都も澁谷かのんも人気のあるキャラクターなんだと思います。

 

⑥笑う門には福来る


Liella!の公式プロフィールはそれまでのラブライブ!シリーズと違う点があって、まずスリーサイズがありません。ここはメンバー全員が1年生で高校3年間を描く物語で成長するから載ってないって説がありますね。


そして、逆にLiella!から追加された項目に『好きな言葉』があります。

この記事のひとつ前の章のタイトルの『雲の上はいつも晴れ』は澁谷かのんの好きな言葉ですね。可可の『思い立ったが吉日』、すみれの『一念天に通ず』、恋の『初心忘るべからず』とどれもがメンバーの芯を表現していて。アニメでは会長選の時に出てきたりもしてました。

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で、千砂都はと言うと。

メンバーの中で千砂都だけは好きな言葉がふたつあります。

あえて意味を探すなら幼少期の千砂都とかのんに出会ってからの千砂都のそれぞれが言葉を持ってると考えるのが自然でしょうか。

あまりイメージがない方の言葉は『早起きは三文の徳』、成長した後の言葉に当たるのは『笑う門には福来る』ってイメージかもしれません。

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今回は『笑う門には福来る』の方について話したいんですけど、この言葉の価値観ってまさしくかのんの笑顔に勇気を貰った自身の経験から来てるように感じられて。

そして、その笑顔を見せる側に自分がなろうってスタンスが千砂都の成長で、周りを笑顔にしたいって気持ちはかのんと同じように持っています。

電撃G's上でのインタビュー記事(2021年9月号)で千砂都が語った想いを見てみましょう。

Q.スクールアイドルをするうえで大事にしていることは?

私、笑う門には福来るって言葉が好きで、スクールアイドルとして得意なダンスでみんなに笑顔を届けられたらなって思ってます。

 

物語の中では自分自身と強く向き合って成長している千砂都が、Liella!の中でも想いを届ける相手側のこともしっかり想っているってのが面白いですよね。

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とは言え、そこについては2期以降の展開でさらに見えてくる領域だと思うので、今回の記事はここらへんで期待を残して終えたいと思います。

彼女こそ人によって感じ方が違うキャラクターだと思うので、私の考える彼女の魅力と違うものがたくさんあるならそれも良いと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

また次の記事でお会いしましょう。