トリスのメモ帳(87) 解けない魔法、結んだ心【Sing! Shine! Smile! 楽曲感想】
こんにちは、トリスです。
今日は自分にとって大切なLiella!の楽曲について話します。
2期10話挿入歌『Sing! Shine! Smile!』
アニメとしては1話でも最終話でもないタイミングで披露されたこの楽曲ですが、物語の中での意味の強さはそうした楽曲と変わらずLiella!の2期の物語の集大成に近い曲だと思っています。
そして何より私自身が2期楽曲の中で特に感動した楽曲なので、今日はこの記事をその魅力と向き合いたいと思います。
ぜひ最後までお付き合いください。
【目次】
①1年間の成長の総決算
2年目を迎えて新メンバーも増えたLiella!が、東京大会を突破するために用意した楽曲がSing! Shine! Smile!。
この意味が前クールからアニメを見ている視聴者にとってはすごく大きくて。
それはつまりStarlight Prologueで敗退した場所を越えていかなければいけないということです。
アニメ1期やStarlinesツアーを体験したファンにとって大きな存在であるStarlight Prologueですが、それはアニメ内の2期生にとっても同じ。
最初に加入したきな子はStarlight Prologueを見たことが加入のきっかけでした。
その初心はアニメ6話でも台詞として登場しています。話している相手はこれまでに何度も夢を見ては叶わず諦めてきた夏美。
「このステージすごいっすよねぇ」
「メイちゃん達とも話してたんすけど、きな子たち、これを越えるのが夢なんす。」
「夢?」
「きな子たちが入って1年生が増えたから、このステージを越えることが出来たって、Liella!はパワーアップしたって……!」
「それが……夢……」
Sing! Shine! Smile!披露直前の9話では2期生たちはステージに立たない選択肢も浮上したうえで、結果として練習メニューを増やして先輩たちに追いつき、9人のLiella!で東京大会を突破しています。
勝てた理由はかのんたち1期生の成長だけじゃないことが11話で触れられていて、部長である千砂都や、負ければ帰国予定だった可可からは「頼もしかった」と褒められています。
9話の大会出場人数のエピソードも含めて、Sing! Shine! Smile!は本当の意味で2期生がLiella!のメンバー(戦力)として加わった瞬間。
挿入歌披露前としては恋を含めた5人が揃ったWish Song以来の肩組み円陣が描かれたのもこれが理由だと思います。
どうしても後輩をフォローする意識がかのん達にあった状況から、この回でキャッチコピーである『追いつけ、追い越せ』をきな子たちが叶えたというのが良いですよね。
②きな子たちも居たから叶えられた物語
そして、きな子たちがお荷物じゃなくなったという話だけではなく、2期生が居たからこそ完成した楽曲だというのもポイント。
実際の歌詞と合わせて歌唱順を見てみると、1期生から2期生に繋いでサビに入るような構成になっています。
もしも過去と未来
どこへだって行けてもきっと
ここにいるよずっと
この瞬間君と噛みしめるんだ
メンバー全員が可可の帰国問題を知ったからこそ、歌い出しのクゥすみの歌詞も意味が強い。
でもそれだけじゃなくて、過去に会いたい故人が居る恋がLiella!としての今を選んで『ここにいるよずっと』と歌うのが好きです。
そこから2期生の歌唱パート。
この楽曲の歌詞は、幼い頃からきな子が書き溜めていた言葉も使った合作歌詞になります。
特に2期生の歌唱パートはきな子が書き出しているシーンがアニメ内でも描写され、きな子たちが加入しなければ生まれなかった部分として扱われています。
※きな子から夏美へ、指の振付が続いてるのが、夢をつなげてる感じが最高
ここで少し話はそれますが。
アニメ2期楽曲で一貫して描かれているテーマとして主なものは大きく2種類あると思っていて。
ひとつは『ラブライブ!大会で勝つというスタンス』
もうひとつは『出来ない事に向きあう辛さと楽しさ』
前者は最初に受けとったWE WILL!!からかなり印象強いと思うんですが、後者も1話でかのんがきな子に語った内容と繋がっていて。
「私だって、最初は何も出来なかった。
でも、みんなが居てくれたからなんとかここまで成長することが出来たの。
だから……これから先の景色はきな子ちゃんと見られたらすごい幸せ!」
1期生にとっては前回勝てなかった東京大会もイコールで『出来なかったコト』
でも2期生にとっても去年のLiella!が越えられなかった壁は『追いつけ、追いこせ』のアニメキャッチコピーと重なって目指す目標です。
そこを受け入れるような言葉は1話から明確に歌詞とセリフで示されていました。
できないができるに変わる嬉しい気持ち
僕らと感じにいこう!
夏美の言葉もあって、向いていないと思っていた夢(スクールアイドル)に挑戦するきな子がLiella!の一員に。
そんな2話ではエンディング曲『追いかける夢の先で』が初披露となりました。
出来ないを越える瞬間が楽しさ・嬉しさに繋がるというテーマはこの楽曲の歌詞でも触れています。
「できそうで、できない」ができた時は
嬉しくて頑張ろうって こころ飛び出したがる
同時に、そうした嬉しい気持ちだけではなく、ウィーン・マルガレーテに敗北という悔しい結果も味わった3話の挿入歌も見てみます。
楽しいだけじゃないことばかりでも
できたときは100倍嬉しいよね
『出来ないが出来るに変わる楽しさ』
『それでも結果に届かない苦しさ』
両方の経験を積んだきな子たち2期生がSing! Shine! Smile!で歌っているパートを見てみましょう。
楽しいを越えて 傷ついて知った
もっと楽しいって気持ち
傷つくことを避けてスクールアイドルをすることも出来るなかで、1期生の先輩たちとペアでそれぞれ挑戦した10話があるからこそ輝く歌詞。
10話では、スクールアイドルを始めた当初は体力のなさで躓いたきな子が、過去に同じ壁にぶつかった可可に背中を押されるシーンもありました。
出来ないことが出来るようになる嬉しさは、自分ひとりで知ることが出来るものじゃなくて、誰かと”つながる”ことが重要な鍵。
この『つながる』はスーパースター!!では『結ぶ』と似た意味で歌詞に登場しています。
③結んでつながる想い
もっとできる そうさできる
どうしようもなく高鳴るね
忘れないよ つながる嬉しさ
今回の挿入歌で使用された衣装は、現実のキャストがかのん達より先にセカンドライブで着用していたことでも話題になりました。
このシステム自体がキャストとキャラクターを”つなぐ”表現だとも言えますが、この衣装胸元の紐が意味のある”結び”というのも粋ですよね。(紐柄の意味についてはたびたび話題になっているので割愛します)
歌詞に合わせて結ぶ振付が入っているのも特徴的です。
Sing!いっしょに歌おう
Smile!心結んで
考えると、過去に東京大会に敗れたStarlight Prologueでも想いを結ぶことにスポットを当てた歌詞がありました(結ヶ丘を特に背負っている恋パート)
ぎゅっとね 結んでった僕らの願いは
思いもよらないカタチに変わってく
少し話を戻して。
そんな過去ライブとつながる衣装で披露したSing! Shine! Smile!ですが、舞台上の演出でも今までの楽曲とのつながりが多々あります。
Sing! Shine! Smile!の特徴のひとつとして『画面の情報量が多い』というものがあります。それはステージ後ろのモニターパネルに宝石・光の波・花が出ていることによるものです。
それで画面上では少し分かりにくくなってしまっているのですが、今年もおそらくクリスマスに行われている東京大会のSing! Shine! Smile!では、Starlight Prologueと同じように雪がふっています。
そして、画面上に出ている六角形の光の反射は『始まりは君の空』のラスサビで出現しているものと同じです。
μ's・Aqoursのファーストシングルでサビから登場する『シャボン玉』と同じように、Liella!のファーストシングルでもラスサビから画面に現れる光。
そのプレミアム演出がSing! Shine! Smile!では開幕からあふれている状態というわけです。
※最初からしっかり出てるのに途中から光量マシマシになって最高
また、楽曲披露前の円陣で肩を組んでいるシーンが印象に残っている方も多いはず。
Liella!で言うと1期生が揃ったWish Song前以来となる演出。
そんな風に色んな要素がつながっているSing! Shine! Smile!は、Liella!のここまでの物語・次元の『交差点』的な立ち位置と考えることが出来そうです。
次はそんな曲がアニメ内の物語でどういった形で生まれたのかを見てみます。
④『みんなで叶える』本当の歌
Sing! Shine! Smile!は去年のリベンジとしての流れと合わせて、澁谷かのんとウィーン・マルガレーテのそれぞれのラブライブ!観をぶつける曲として、『エーデルシュタイン』と対になっています。ここでは『本当の歌』というのがキーワード。
それ以外にも、Sing! Shine! Smile!(10話盤)では歌詞カードやCDディスクのデザインが『宝石』テーマで統一されています。
ウィーンが披露した『エーデルシュタイン』も和訳すると『宝石』という意味のドイツ語なので、対になっている要素が多いですね。
去年負けた東京大会。負ければ可可は帰国。
相手は一度負けてるウィーン。
負けられない要素が揃ったステージで、対決にのぞむLiella!が『本当の歌』として準備したSing! Shine! Smile!は『勝つための歌』ではなく『みんなのための歌』でした。
上で、Sing! Shine! Smile!には様々な要素がつながっていると書きましたが、それはLiella!メンバーが過去に過ごしてきた時間も含まれていて。
例えば、作曲チームでは恋がメイがこれまでにピアノを続けてきた時間を肯定する流れ。
例えば、きな子がこれまでに書きためてきた言葉が歌詞として使われていく流れ。
そして個人的に好きなのは、衣装アイデアを描くすみれです。
ノンフィクション!!のティアラの恩返しとして、可可を帰国させないためにすみれが自身に出来ることを考えたときに、可可の衣装制作をアシストするスキルを伸ばしていたというのが去年からの成長の方向としてすごく良いですよね。
メンバー全員で作ったSing! Shine! Smile!は振付も特徴的で、現実のライブ会場であれば初めて見た観客も一緒に踊れるような振付になっています。
観客には出来ない超人的ダンスと歌で魅了するウィーンのパフォーマンスとは真逆な、そうした『みんなで叶える物語』こそがかのん達が2年間のスクールアイドル活動で知ったことだと、ステージ上で形になっています。
⑤歌詞の魅力とまとめ
さて、そんな形で楽曲周りの要素を色々と見てきましたが、最後にフルサイズ歌詞に含まれた表現で良いなぁとおもった箇所を少しだけ紹介してまとめとします。
2番サビ終わりで突然くるワルツ
これがあまりにも破壊力高くて、Cメロのパートを担当している1期生たちそれぞれに強い意味を感じるんです。
僕ら魔法にかかった
夢という名の魔法に
Liella!でワルツといえば恋の個人曲が出てきますが、微熱と近いニュアンスも感じさせるような入りからCメロは始まります。
そして続く千砂都は加入回のタイトルも『夢見ていた』ですが、かのんの歌に憧れた時から夢がテーマのメンバーです。
時が過ぎても終わらない
叶う日まで解けないよ
この曲が披露された10話と9話はセットで、9話ではノンフィクション!!のティアラも登場しました。
ノンフィクション!!回はすみれがシンデレラ・可可が魔法使いの御伽噺を重ねたようなエピソードなので、『時が過ぎても終わらない魔法』をすみれが歌うのは面白いですよね。
そして、『叶う日まで解けない』と歌っているものの、その可可はこのステージで負けたらスクールアイドルをやめないといけないって状況。
負けたらもう叶えられないってのを理解した上での歌詞なので刺さります。
※可可パートの後半は全員歌唱パート
そして、1番サビとラスサビの対比。
1番サビではスクールアイドルの中で得た気付きを歌詞にしているのに対して、ラスサビではそれを理解した上で次に進むような表現の変化があります。
夢みてるんだ ただ夢中さ
眠るのも忘れちゃうほど
誰にももう止められない
僕らはそう夢みてるんだ
ラスサビで入っている『そう』というのが、夢見ている今現在を噛みしめているような感覚がありますよね。
その続き方が1番サビとラスサビで異なるのでそこも見ていきます。
好きに理由なんかいらないよ
気付いたんだ
好きに理由なんかいらないと
気付いたからなにも見えない夜が来ても
勇気だして笑ってみよう
その煌めきは伝わるはずさ
このスクールアイドル期間を通して学んだことがあったから、最初の曲であるTiny Starsの時(何も見えない夜空~~)から成長した『流れ星が見えなくても自分が輝く』というスタンスが、歌・輝き・笑顔としてここで曲の形になっているのが最高。
というわけで。
自分にとって大好きな楽曲Sing! Shine! Smile!の魅力を見てきました。
最後にSing! Shine! Smile!の歌詞リンクを貼っておくので、もしよければそちらから歌詞を見ながらもう一度フルサイズを聴き直してみていただけたら嬉しいです。
アニメとしては1期終盤の私を叶える物語(私のSymphony)→みんなで叶える物語(Starlight Prologue)とは逆のような形になっているのが2期だと思っていて。
最終的に優勝まで描いたものの、この東京大会がLiella!2期での『みんなで叶える物語』としての集大成のように感じているので、これから先の3rdライブで受け取るときに注目してみるとより楽しめるかも知れませんね。
それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
【関連リンク】
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