トリスのメモ帳(79) 『誇り・表情・リアル・優しさ』 平安名すみれの魅力を語る
こんにちは、トリスです。
今日は『始まりは君の空』発売から1周年と言うことで、Liella!のメンバーのひとりである平安名すみれの魅力について見つめていきます。
他4人の記事とはちょっと雰囲気が違ってアニメシーンを客観的に見るよりも自分個人の感情を優先した記事となりますが、ぜひ最後までお付き合いください。
【目次】
①脆いプライドと地雷
平安名すみれというキャラクターの魅力について語るんですが、ありすぎて。
かっこいい魅力も、かわいい魅力もいっぱいあるんですが、平安名すみれを一言で表現してしまうと、シンプルに「いい奴」なんですよね。
他のメンバー以上に確固たる『夢』を持っていて、『私を叶える物語』の上に立っている人間です。
自己紹介でも何度も言っている通り、『ショウビジネス』と言うのが彼女にとっての夢と誇りの世界。(この目指すショウビジネスと言うのが範囲が広いので具体的な内容があまりよく分からないんですが、『スターになる』と言いかえても良いかも)
初登場の時からずっとここは譲れない価値観として持っていて、だからこそ4話では可可とぶつかることもありましたね。
可可からしてみると、スクールアイドルに憧れる要因になったグループはSunny Passionと言う2人組……つまりセンターがなかったので、すみれの言うセンターの重みは分からなくて。
また、かのんとの『2人組』からすみれを信じて3人目として受け入れたのに、一度裏切られた禍根はすみれ加入以降にも残っていきます。
一方で、すみれがスクールアイドルをアマチュアとして扱う裏にプライドがあるのは分かりやすいですね。
彼女がこれまで戦ってきたショウビジネス世界はあくまでプロだから、その中で選ばれなかったとしてもアマチュアよりレベルが高いから仕方ないって思考は、平安名すみれのプライドを支えていました。
だからこそ、4話でクラスメイトからの人気投票でそのアマチュアのかのんに負けたことは許せなかったし、可可の言葉は地雷を強く踏み抜いていました。
『どうして!歌だってダンスだって私全然負けてないでしょ!』
『おそらくオーラとか華とか
かのんの方が、可可やあなたよりセンターっぽいのデスよ』
この言葉で可可はすみれの地雷を踏んだし、スクールアイドルの本気をアマチュアと侮るすみれは可可の逆鱗に触れている。お互いの譲れない価値観が生み出した、この奇妙な関係は10話に繋がっていきます。
②負け慣れたチャレンジャー
すみれは夢を目指す純粋な欲望を持っていながら、それに負けることに慣れてしまっていて。
アニメ4話ではかのんがすみれに強く共感していますが、それは1話でのセリフや『青空を待ってる』の歌詞を考えれば、2人の境遇の近さは理解出来ます。
そんな中で名刺を差し出すことは澁谷かのんにしか出来ないですし、同時に10話の展開でセンターから逃げるすみれを追いかけるのは可可にしか出来ないって距離感が良いですね。
そして、すみれの個人的な好きポイントのひとつは『細かい表情』。
すみれのリアクションには夢を目指しながらどこか諦め慣れている仕草が感じられることもあって、素の感情を感じられる時は静かなんです。
例えば、7話ではすみれが生徒会長選で負けて、学園祭に向けた恋の言葉を聞くシーン。
『最初の学園祭は、音楽科をメインに行うことと決定しました』
ここで、千砂都や可可は驚いた表情をしているんですが、すみれは諦念を含めた静かな反応。Liella!加入までの体験ももちろんありますが、こうした負け経験が落とした影も10話での臆病さになっていきます。
10話では自身と近い境遇のかのんに背中を押される形でセンターに立ちますが、そこでは自信のなさも見透かされていて。
『どう?自信出てきた?』
結果、学校の皆からの反応はやや不評だったんですが、それを話してる教室でのすみれの反応は、『作中で一度も付けるとこを見たことがない大きなヘッドホンをわざとらしく付けて指を鳴らしている』というものでした。
かのんと似ていて真逆だと思うのは、この聞こえない振りをするヘッドホン。
ヘッドホンと言えば1話ではかのんが『これで何も聞こえない』と耳を塞ぐシーンが印象的ですが、10話教室でのすみれはこのヘッドホンで何も聴かずに耳を澄ましていると思うんです。
すみれの性格を考えたら、わざわざ教室なんて目立つとこで努力してるのおかしいし。
音出してないヘッドホンから聞き耳を立ててたから、千砂都・かのんの話にタイミングを合わせて現れたらしいのが、なんというか『すみれらしい』ですよね。
③ノンフィクションの物語
ここでは個人的な話をします。
自分はラップバトルとHIPHOPが好きなんですが、最近のアニメソングと韻の親和性は年々上がり続け、今ではアニメ内でラップが出てくる展開もそう珍しいものではありません。
そういう意味では世間の流行を反映させた要素であり、すみれがそれを出来るのは自然なことなんですよね。
※ラップとラップバトルとHIPHOPは全て別なんですが、誤っている部分に目を瞑って主語を大きくして話しています。
10話でもテーマになっている『ラップ』の世界には韻を含むことの他に2種類の特徴があって、それは『即興』と『リアル』です。
ひとつめの即興はまさしくショウビジネスの世界で戦ってきたすみれが磨いてきたスキルそのものですね。
『これでも小さい頃からショウビジネスで場数は踏んでいるの。
アドリブだったら負けないわ!』
そして、もうひとつの特徴である『リアル』。
これはひとつのラップ用語で、気になった方は調べてみて頂きたいんですけど、簡単に説明すると『偽りなく自分の価値観の上での言葉を吐いているかが、ラップの世界では重要な要素』ってことです。
HIPHOPでゆう"リアル"とは具体的にどうゆう意味なんですか?"リアル"... - Yahoo!知恵袋
ってことを知った上で見ると、『ノンフィクション!!』って楽曲タイトルのすみれの肯定の仕方ヤバくないですか?
オールマイティなステータスが弱点として話していたメンバーの中で。
それでも平安名すみれ自身の『リアル』で『ノンフィクション』な力を信じた可可のティアラを付けた、すみれのセンター楽曲がこれなのが最高だと思うんですよね。
そして、競技としてラップを行うラップバトルでは、その人の戦績を『冠』と呼ぶことが多くて。
かなり話が脇道に逸れると(今さら)、エンターテインメントな世界も含んだラップバトルは優勝メダルを貰うような『スポーツ』ではなく、かわりに冠に例える喧嘩のような戦いなんですよね。
そういう意味で(他競技にもありますけど)ラップバトルでよく出てくる言葉のひとつに『無冠の帝王』って『勝敗の物差しで評価されていないだけで絶対の強さのある人』みたいな呼称もあるんですけど。すみれってまさしくそれで。
そこに可可が自分の未来を全ベットしたティアラって冠を預けてセンターに立つのが熱いんですよね。
あと、上では『リアル』の定義を『偽りない感情を~』って書いたんですが、同時に『飾らない感情』って価値観でもあって。
ノンフィクション!!ですみれのドレスやティアラが許されてるのは、着飾ってる(盛ってる)わけではなくそもそもすみれが持っていた価値を再度叩きつけているだけだからみたいなニュアンスが感じられるのも好きポイントです。
④Liella!のジョーカー
すみれのLiella!での立ち位置を象徴するイベントのひとつに3話があります。
公式プロフィールでは各メンバーのLiella!内での立ち位置をそれぞれに表している言葉が入っていて、可可なら『太陽』、恋なら『エース』なんですけど、それで言うとすみれは『Liella!のジョーカー』なんですよね。
恋のエースとはトランプ繋がりに見えるすみれのジョーカー。
自分のなかでジョーカーって言うとエースにも勝つ最強のカードで、スペードの3に負ける印象が強い(大富豪)んですけど、おそらくここで言いたいのはポーカーでのジョーカーのようなワイルドカード……つまり、何でも出来る万能さを表現していると思います。
そして、それと同時に、物語内の立ち位置で言うなら『トリックスターとしての意味でジョーカー』、つまり、場面を壊して物語を進ませる不確定要素ですね。
だから3話ですみれが配線をひっかけてステージ照明を落として、千砂都ペンライトって展開に持ってく流れがめちゃめちゃ好きで。
すみれは『やっちゃった』と言いますけど、それが無ければ緊張で押しつぶされかけた可可と歌えないかのんでは負けイベルートに入っていたんですよね。
そこを一旦仕切り直しする動きをしているのがすみれらしいと言うか、落ち着いたLiella!のなかで特にピーキーな動きで予想外の場所まで手を届かせるポジションとして良いと思います。
⑤積みあげる努力と前進
最期に、個人的なすみれの一番好きなシーンを語らせてください。
って、厳密に言うと一番好きなのは10話での泣き顔なんですけど。
あっちは本当に自分が輝くために色んなことを頑張ってきて、それでも出来ないことだらけで諦め慣れてきたなかで、可可って相手のことを慮ってしまうすみれの人柄の良さが出てるシーンだから好きってだけなので、ノーカンにしておきましょう。
本来話したかった方の一番好きなシーンを見ていきます。
それは12話から……
『この調子でランニングもう1セット行こう!』
『えぇ~~!!』
『あなた、りきみすぎじゃない?』
『だって東京大会が近いんだよ!
……なんか、頑張った分だけ出来るようになっていくのって、楽しいなって思って』
このすみれの表情の含みが大好きなんです。
かのんとすみれの間には共通の想いも多く、4話でのすみれの悩みに寄り添うかのんは『青空を待ってる』の先で『雲の上はいつも晴れ』を見つけられることを知っているからこその態度を取っていますが。
かのんとすみれはどちらも『頑張っても出来なくて折れかけた(折れた)』って経験を持っているからこそ、その2人が今スクールアイドルって居場所で頑張った分だけ前に進めていることを『楽しい』って表現出来ていることが幸せだし、そこのすみれの静かな微笑みが大好きなんですよね。
きっと、平安名は大きなリアクションを取るシーンがアニメ内で今後も多いと思うんですけど、その中に見える細かな表情と息遣いに注目していけたら楽しいかなと思います。(一瞬の隙もなく”見てろ!”と言われたわけですしね)
そんな期待もこめながら今回の記事はここまでとさせていただきます。
語り足りない分はツイートなどで出来たら良いですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。