トリスのメモ帳(80) 『主人公・過去・未来・結』 葉月恋の魅力を語る

こんにちは、トリスです。

今日は『始まりは君の空』発売から1周年と言うことで、Liella!のメンバーのひとりである葉月恋の魅力について語っていきたいと思います。

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アニメ1期では加入が後半だったこともあり出番がやや少なめだったのでLoveLive! Daysなどの紙面や楽曲からも合わせて見ていきましょう。

ぜひ最後までお付き合いください。

 


【目次】

 

①一般公募合格枠の2人目


葉月恋の話をしはじめる前にラブライブ!スーパースター!!のテーマから。

この新シリーズのテーマと言えば「私を叶える物語」なんですけど、それと同時に一般公募にてメンバー募集を行うことが発表されました。

で、その一般公募オーディション合格者1名として主人公役が伊達さゆりさんになったわけですが、想定外の展開として2人目の増枠合格者として青山なぎささんが葉月恋役となりましたね。

 

この合格枠を増やす告知で、スーパースター!!ってコンテンツにめちゃめちゃワクワクしたんです。

キャスト本人の性質を見ると分かる通り青山なぎささんって場の回し方でも岬なこさんと並んでLiella!の柱ですし、運動能力もかなり高くてエリート感が強くて。

その青山さんが一般公募枠を無理やり増やさせて合格したのが面白いなと思ったんですね。

でも、元々そのオーディションは新シリーズ主人公役キャストを選出するためのものだったので、青山さんの合格は最初にイメージした形とは少し違うもの。

それが憧れの学校に目指した音楽科ではなく普通科として通い始めることになる澁谷かのんと構図的には一緒で、キャラクターの関係とキャストの関係は逆なんですよね。

(もちろん青山さん自身は主人公役じゃないことをネガティブに捉えていませんが)

チャンスはある日突然 目の前に舞いおりてきた
思うかたちと違っても そっと両手を伸ばしたんだ


そういう流れがアニメの外側にあるので、葉月恋/青山なぎさってメンバーをもう一人の裏主人公として見つめる視点は持っておいても良さそうです。

 

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今までのラブライブ!シリーズに共通する概念を『みんなで叶える物語』だとするなら、アニメ序盤でそれを最も理解していないのが葉月恋だと思います。

『みんなで叶える』と『私を叶える』の対比は、11話でのみんなと一緒にしか歌えない澁谷かのんをひとりでステージに立たせるシーンで、可可と千砂都のやりとりとして表れていました。

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『かのんちゃん、みんなが居るから、
「ひとりじゃない」って思えるから、歌えるんだと思う』

『それは良くないことなのデスか?
仲間が居るから歌えるって素敵なことだと思いマスけど』

『私もそう思ってた。でもね、それって本当に歌えることになるのかな。
ずっと今みたいな不安は消えないんじゃないかな』


千砂都の場合はそれを大事にした結果が3話の初ステージ時点でも未加入という選択だったのですが、恋の場合は『私を叶える物語』に対しても理解出来ていない人という立ち位置です。少なくとも、6話時点ではそれを理解は出来ていません。(両方の『叶える物語』に対するリアクション担当)

 

『かのんちゃんの力になれないから』
『え?』
『それならここでダンスを続けてたって意味ないもん』
『すみません、私にはよく意味が……』

 

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この時点での恋にとって一番気を許せる友人が嵐千砂都だったので、そんな友人の覚悟を見たことが、7話からの生徒会長選⇒学園祭での恋の強硬ムーブの覚悟に繋がっていったのかもしれません。

6話終盤ではカメラが神津島に行ってしまったので、ダンス大会優勝・転科という結果を出して先に進んだ友人から恋が何を感じたのかは描かれていないのも妄想が膨らむポイントです。

②澁谷かのん/葉月恋


裏主人公と表主人公の関りを見ていきましょう。

かのんと恋の意見のぶつかり合いは1話の最初から描かれていました。

1話では、可可の大好きを軽んじた恋にかのんが噛みつく形でファーストコンタクト。

強そうに見えて自分の弱さを誰にも見せられないアニメ序盤での恋の言葉は、全てがブーメランの側面を持っていたと思います。

『あなたは、どうなの?
あなたもやりたいのですか、スクールアイドル』


恋の言葉は。

本当なら自分が心置きなくやりたいスクールアイドルに対して、母親のこともあって、どう接して良いか分からないから『認めない』って選択肢を無理して取っている形。

(葉月恋にとっての『スクールアイドル』は学校自体と並んで母との絆ですが、それを信じられなくなっているのがアニメ7話までの恋で、かのん達のおかげで学校とスクールアイドルの両方の母との絆を再確認出来たのが8話って感じだと思います)

 

それって澁谷かのんが自分の中の歌に対して『青空を待ってる』で嫌いだって繰り返してた時の精神状態に近いんですよね。

だからその経験があるかのんは恋に対して誰よりも寄り添おうと出来たし、スクールアイドルとしてステージに立つ際には(1話でかのん自身を救ってくれた可可と同じように)『自分自身の素直な気持ち』をぶつけています。

 

『恋ちゃん、センターやってみない?
この学校の初めての学園祭だよ!』
『それは、そうですが……』
『それに私が歌って欲しいんだ……恋ちゃんに』

 

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『迷惑かと思って言うかどうか迷っていたのデスが……
どうしても、かのんさんと一緒にスクールアイドルがしたい!』

 

結局『私を叶える物語』の上では○○したい!って素直な気持ちが誰かの背中を押すことが多いようですね。

 

そんな主人公の澁谷かのんとは対照的な裏主人公的なポジションとしても描かれている葉月恋。加入順が5番目なのもそうですが、プロフィールでも好きポイントがあります。

それはLiella!メンバーの『血液型』です。

Liella!メンバーの血液型は結構分かれていて、幼馴染2人がそれぞれA型(かのん)B型(千砂都)なんですよね。そして、可可はO型すみれはAB型

そして恋はA型(性格的にも結構イメージ通りで)で、メンバー内で唯一かのんと恋のキャスト一般公募組だけが被っているんです。

メンバー人数が5人しか居ないLiella!だからこそ「2人だけが血液型被っている」という状況が生まれるのは面白いですよね。

また、最近のラブライブ!シリーズだとAqoursなら桜内梨子、虹ヶ咲なら高咲侑とW主人公のサブ側が作曲担当になることが多いんですが、Liella!は一般公募組のかのん&恋の2人作曲体制なのが面白くて。かのんの方は作詞も出来ますしけど、2期以降では恋が作詞する回も来るかもしれませんね。

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あの恋が初めて作った曲がまさかのノンフィクション!!だったのは曲調が予想外でしたが……。

③心を開いていくこと


キャラクターのことを一番理解しているのは間違いなく担当キャスト。

先日のライブMCでは、青山なぎささんが葉月恋に共感することとして『アニメ内で少しずつメンバーに心を開いていく様』を挙げていました。青山さん自身も素を見せるのが苦手だったけれど、ファーストライブツアーを通してメンバーやファンにそれを見せられるようになってきたとのこと。

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『心を開くこと』

加入が遅かった葉月恋にとっては、これがひとつテーマになっていて。これはソロ曲とかセリフだけじゃなく、全体曲(例えばDream Rainbow)での葉月恋パートの担当歌詞を見てみても良いですね。

伝えたいこといつでも飲みこんで
うまく言えなかったよ(君が変えたの)


余談としてライブだとここのパートは、幼馴染組(かのちぃ)と他3人に分かれて踊るんですが、それは幼馴染組は幼い頃に変えてくれた相手がいるってニュアンスでもあるし、他3人の方はWish Songのジャケットと同じなので、葉月恋が加入して心を開いてく歌詞として受け取っても良いと思います。

 

かのんが歌と向き合うことがテーマであるように、恋の場合は周りに心を開けるかってのもキーポイントのひとつ。

同じクラスのクラスメイトとして仲良い人は7話時点でも居ると思うんですが、生徒会選挙の話をしているシーンで振り返った瞬間に表情が険しくなるのを見ると、恋にとって仲がいい友人は嵐千砂都ぐらいしか居なかったのではないか、と思います。

友人が居ないと言うよりも、頼れる相手(頼って良いと思える相手)が居なかったと言う方が正確かもしれません。

 

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※クラスメイトを見送る間は笑顔だが、ロッカーに顔を向けると表情が険しくなってる7話シーン

と言うのも。

恋が一番心を開いていた相手が他界していることが大きくて、父親も海外なので心を開けるのはチビとサヤさんだけ。

また、アニメ内では絶対に描かれないとおもうんですけど、大型犬の寿命は約10年なのでチビも恋が高校卒業するまでには居なくなる可能性が高いんですよね。

学校を存続させるためにお金が無いという理由でサヤさんとも離れて、恋は本当にひとりぼっちになる過程にあったのが7話時点です。

 

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アニメでの流れとしては、恋が心を開けたことで対スクールアイドル問題・金銭問題が解決しています。(※8話でのことが無いと父親寄付も受け入れられてないので、間接的に金銭問題を解決してる)

最終話では久しぶりにサヤさんが登場して、7話ラストから金銭問題解決まで本当に解雇されていたことが明かされます。

実際、9話でのかのん作詞シーンでもサヤさんは居なかったですし、11話の通話シーンでは恋の飲んでいるのはティーカップではなくマグカップです。(自分で淹れることはせずに)サヤさんが淹れたお茶のティーカップが葉月恋のメンバーアイコンなら、最も誰かとの繋がりをベースにしたアイコンと言えますよね。

 

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『お待たせしました』
『サヤさん、またあなたと暮らせて幸せです』
『こちらこそ。お母様の作った学校を守ろうとする恋様を
再びお手伝いできることを誇りに思います』


紅茶を淹れるのに「お待たせしました」だけでなく、数ヶ月ぶりに恋のもとに戻った意味での「お待たせしました」なのが粋ですよね。

そして、ここまで恋のテーマが『心を開く』と言ってきて、それは対人の繋がり……つまり『結び』の面もありますが、もうひとつ自分自身に対して素直になる『楽しむ』ということを恋が知っていくのもスクールアイドル活動の芯だと思います。

ここに関してはDaysではなく電撃G's本誌の方で語られていたので、そちらを見ていきましょう。(※2021年10月号)

 

Q:スクールアイドルをする上で大事にしていることは?

まだ活動を始めたばかりで、スクールアイドルについて勉強中の身なのですが……。
かのんさんたちを見ていて、まずは自分が心から楽しむことが大切なのだなと感じています。

 

恋の楽しむ姿勢はDaysに連載されてFAN BOOKにも収録されている「ふたりの時間」シリーズの恋・可可編でも語られています。勉強する時も楽しんでいる可可を、尊敬してライバル視していると。

ラブライブ!スーパースター!! Liella! スペシャル朗読動画 vol.14【唐 可可・葉月 恋 編】 - YouTube

アニメ2期もそうですが、この先の展開ではより心を開いて楽しんでいく恋の姿が楽しみですね。

④過去と未来を繋ぐスクールアイドル


ここまでに葉月恋の内側の話をしてきたので、今度は彼女の外側にある大切なものに目を向けていきます。


葉月恋の大切にしているものは『母親』『学校』で、言い換えると『過去』『未来』

大切な母親はこの世界に居なくなってしまったことで、もう恋の記憶の中にしか無くなってしまった『過去』。でもそこから地続きの現在のステージ上で恋が歌うことでスクールアイドルとしての『今』になるんですよね。

そして、その母親が遺したものが結ヶ丘女子高等学校って場所。これが続いていくから母親の想いも恋の想いも『未来』になっていきます。

 

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そういった想いもひとつひとつのワードに込めた『Starlight Prologue』で恋担当パートの歌詞も見てみましょう。

晴れわたる未来を創るよ

ぎゅっとね んでった僕らの願いは
思いもよらないカタチに変わっていく


とは言え、未来のためだけに今があるわけではなくて。

母親が結と文字を冠した学校を作って想いを繋いだように、恋自身もこの3年間を使って結ヶ丘がどこよりも素晴らしい学校だと証明するという夢もあります。

 

背負った過去に縛られている部分に対してやや自覚的な恋。FAN BOOKにも収録されている《この街の片隅で》を見てみましょう。(※朗読動画にもなっています。)

ラブライブ!スーパースター!! Liella! スペシャル朗読動画 vol.5【葉月 恋 編】 - YouTube

 

街はこんなに変化しているのに、
私だけがずっと同じところに……
まるで、自分が作ったタイムカプセルの中にいるみたい。

——彼女たちの笑顔が、信じる強さをくれるのです。
私が守ろうとしているのは、あの笑顔と……大切なものたちの未来だと。

 

ここで恋は歩道橋の上から道を歩く結女の生徒たちを眺めています。

その笑顔を見て、学校の未来を守るための決意を再確認する流れなのですが、この歩道橋というのは2話ラストの可可・かのんが登ったのと同じもので、『始まりは君の空』の私を叶える物語盤のジャケットと同じ場所です。

 

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実はここにアニメ内でも葉月恋が立っているシーンがあって、それは1話の未来予報ハレルヤ!の曲中です。
曲中では恋が見上げる太陽から目を逸らして背中を向けるカットが入っていて、恋のなかでスクールアイドルに対する整理の付かない想いがあるように感じられますね。

 

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スーパースター!!は作中でも横断歩道・交差点・歩道橋といったアイテムが出てくることが多い作品なので、繋げることで見えてくる意味もあるかもしれません。

今後の展開でも『交通アイテム』にも注目したいと思います。


ちなみに2話のかのん・可可のシーンで言うと、かのんが『音楽科受験に落ちて、”おしまい”が続いていくと思っていた』と語っていた場所でもあるので、変わらない(おしまいが続く)に対してネガティブな澁谷かのんと、変わらない(この街の景色と母の遺した想い)に対してポジティブな葉月恋の対比として見れますね。

⑤葉月恋のスタンス


今は居ない母親を含めて大切な人達(ファン・メンバー・サヤさん・結女の生徒たち)に対して「見守っていて欲しい」というスタンスもなかなか今までのシリーズ登場人物では珍しいものです。

上で書いた電撃G's本誌の方での、恋の『スクールアイドルをする上で大事にしていること』の答えの続きを見てみます。

 

そして私もLiella!の一員として、夢を叶えていきたいと思っています。

どうか見守っていてくださいね。

 

でもこれはある意味ではアニメ内で、母親が求めていた距離感だったこともあるのかなと思っていて。

アニメ8話での理事長の台詞を見てみます。

『責めないでよ。「何も言わないで欲しい」って
「ただあの子が自分で決めるのを見守っていて欲しい」って。
……まったく、迷惑ったらありゃしない!』

 

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ステージで一人でかのんを歌わせた千砂都じゃないですが、葉月恋の中にも『ひとは色んな人と結ばれながら一人で成長していく』みたいな価値観は母親から引き継いでいるように思えます。それは私を叶える物語らしさ。

そして、『近くに居て欲しい』とか『ついてきて欲しい』だけじゃなく、少し距離があっても繋がっている『結び』を感じさせます。

 

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『結』の話が出たので、『恋』って名前について。

アニメ内で学校の話を聞いた時にシンプルに感じた疑問として『母親は娘の名前に結を入れようとは思わなかったのかな?』と言うものでした。もしくはそこに関係する想いを『恋』って名前にも込めている可能性はありますよね。

 

と言うわけで調べてみたんですが、漢字の成り立ちとして『恋』ってのは『戀』の略字らしくて。意味は『糸がもつれて、どうにもならなくなってしまった心』を示しているそうです。へぇ~。

……いや、めちゃめちゃ意味あるじゃん!(初めて意味を検索した時の私のツッコミ)

 

人と人との想いを結ぶことを大事にしている彼女がもつれるほど夢中になるスクールアイドルをこれから見れることを楽しみにしたいと思います。

と言うわけで、色んな魅力を触ってきましたが、今回の終着点としては今後も葉月恋が楽しみという形で終わりたいと思います。

話広げる気が無いんですが、アニメ後に発表された微熱のワルツとかもとても好きです。情熱というか自分ではコントロールできない感情の雰囲気が良いですよね。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

また、次の記事でお会いしましょう。