トリスのメモ帳(84) 後天性:楽しいの天才の『ありがとう』


 こんにちは、トリスです。

 今日は2期4話『アイ Love Triangle』を見て、改めて愛さんの魅力が出ているなと思ったワンシーンについて話したいと思います。

 それはラストで『これからもいい勝負が出来そうね』と果林に言われて返したシーン。

そうだね。
でも、それだけじゃなくて、ありがとう

 


 愛さん推しとして彼女から感じた魅力を見つめていくので、ぜひ最後までお付き合いください。

 

 

①ライバル、だけじゃなくて、仲間

 

やりたいことを見つけてどんどん先に進んでいく愛ちゃんを近くで見ているうちに、ふと気付いたんだ

私にはもう何もない、どこにもいけない。
楽しいって気持ちも分からなくなっちゃった。


 美里さんが吐き出した悩み。それは自分が周りに置いていかれてる感覚から来るものでした。

 ここで『もう何もない』って言ってるのが、ラブライブ!シリーズ内ではなかなか無い『自分の大切な繋がりが少しずつ減っていくのを見てきた人』だからなのがすごく深くて。
元から無いパターンは多いけど、たくさんの関係を失う痛みを抱えた登場人物というのは珍しい。


 直接的な原因は美里さん自身の身体が悪かったことで、悩むようになったきっかけのひとつが『愛さんが前に進んだこと』。

 でも、どちらも悪くないからこそ、美里さんと同じように自身を責める愛さんの思考が始まります。相手を責めたくないから自分を責めようとする似たもの姉妹。
話がぶれますが、回想では愛さんが『愛ちゃん』だったからこそ、そこから身長が伸びて今では愛さんの方が背が高いのが感情的に難しい。愛さんに背丈を抜かれた時期の美里さんの気持ちを想像すると険しい。

 愛さん自身にとって『あなた』に等しい存在の美里さん。

 その言葉を受けて愛さんも悩み始めて、最後には自身がスクールアイドルになったことを後悔しそうになります。

楽しいことを教えてくれたお姉ちゃんを、アタシが傷つけた。
そんなアタシがスクールアイドルなんて出来ないよ!

 


 いつでも笑っている愛さんの、普段は見せないネガティブな姿。しかし、果林に煽られると今度は子供のような反応を見せます。

嫌だよ、そんなの!
お姉ちゃんやファンの皆を果林に取られちゃうのは嫌だ!

だったらやめるのやめる!
だってアタシ……アタシ……
本当はスクールアイドルもっともっとやりたいよ!


 ここでの彼女は、同好会のムードメーカーで楽しさを周りと共有する『愛さん』と、美里さんに楽しさを貰ってきた妹の『愛ちゃん』の間で揺れていて。

 普段なら胸中で閉じ込めてる悩みを全て表に出してるような不安定な状態。

 そこから果林の煽りと『それがあなたよ』という言葉で、どちらも自分自身で、美里さんに貰った楽しさが愛ちゃんを愛さんに成長させてくれたんだってのが答えだと気付きます。


 結果、果林と愛さんが競うユニットとしてステージに上がるDiverDiva。

 果林の1期個人回も思い出すと、『仲間でライバル/ライバルだけど仲間』をテーマに持ってるメンバーだからこそ、4話でのラスト言葉もしっくり来ます。

これからもいい勝負が出来そうね

そうだね。
でも、それだけじゃなくて、ありがとう。

 

 

 ライバルとしての話だけじゃなく、仲間としての『ありがとう』が、あのシーンには込められていました。

 

②過去、だけじゃなくて、未来

 

誰も傷付けないなんて、そんなこと出来る人居ないわ。

 


 オレンジ系統は、主人公の色。

 大切な人を傷付けた原因になってしまったことを悔いる愛さんに対して、果林が伝えた言葉。

 それは過去に同じオレンジ色を冠したμ'sの穂乃果が、自身のわがままで大切な親友を傷付けてしまった時の想いへのアンサーでもありました。

今度は誰も悲しませないことをやりたいな。
自分勝手にならずに済んで、でも楽しくて。
たくさんの人を笑顔にするために頑張ることが出来て。
……そんなものあるのかな?

 


 虹ヶ咲と言う場所だからこそ出会えた『仲間でライバル』が愛さんに思い出させたのは、1期4話のソロ曲で歌っていた言葉と繋がる初心です。

それでも太陽みたいに皆を照らせる笑顔が、あなたにはあるでしょ?


 アニメの世界でも愛さんは『楽しいの天才』ですが、そのスタートラインには人見知りで泣き虫だった『愛ちゃん』があります。そんな彼女に『楽しさ』を教えてくれたのは美里さんでした。

 でも、美里さんの言葉では。
 美里さんの方も入院中、愛ちゃんからたくさんのものを貰ったと言っていて。

とある曲では『卵が先か鶏が先?』なんて歌ってましたけど、きっと2人はお互いから楽しさを貰った『後天性:楽しいの天才姉妹』なんですね。


 この回では愛さんの笑顔を『太陽』と形容したのは果林ですが、1期ではその対になるエマから褒められた言葉が、未知なるミチへの鍵になっていました。

 きっと、愛さんの『太陽みたいに皆を照らせる笑顔』は、その背後に大好きなお姉ちゃんに貰ったキラキラした気持ちが積み上がった過去があるから、失った時間がある人にはその眩しさが分かる……ってのが1期でエマも感じていたことだと思います。

(旧同好会解散⇒再結成のタイミングで入部した愛さんが明るくあることの意味は同好会にとって大きい)

 


 でも美里さん目線だと妹から貰ってばかりになって、刺さるからこそ愛さんが先に進んでいってしまうことが怖くなってしまって。

 それでも、楽しさは与えるものじゃなくお互いが得るものだから、『今』のステージの上に立つ愛さんが、『過去』に貰ったそれを返して、お互いに『未来』に進んでいくって流れが綺麗でしたよね。

 

 愛さんが貰ってきた楽しさを、スクールアイドルとしてのステージで返すことで美里さんはもう一度楽しさを取り戻すことが出来ました。
 4話は過去を中心に展開するんですが、最後のライブシーンで『明日』に繋がるのが最高なんです。

愛さんの中には小さい頃から貰ってきたたくさんの『楽しい』があるから、それを今からみんなにあげる!

明日から一歩でも進んでみようって思えるような最高なライブをするから!
だからここに居る皆、配信を見ている皆、笑顔になる覚悟は決まった?


 そして、そのライブを見た美里さんが楽しかったって心から言えたことが、この物語を見ている愛さん推しとして嬉しかったですね。

私、愛ちゃんのファンになってもいい?
愛ちゃんのライブ、すっごく笑顔になれて、頑張る力を貰えるから!


 で、ここからの落とし方が本当に最高で。

 最初に書いた台詞に繋がるんですが、愛さんは感謝の言葉を美里さんの方に向けて言うんです。


 愛さんは宣言通り『明日から一歩でも進んでみようと思えるような最高のライブ』をした上で、最後に『ありがとう』ってこれでまでに貰った楽しさのお礼を美里さんに向けて伝えるんです。

これからもいい勝負が出来そうね

そうだね。
でも、それだけじゃなくて、ありがとう


 果林から言われた『これから』って未来の明るい話が、『それだけじゃなくて』を挟んで過去も大切にする想いと繋がっています。

 この意味を強くしたのは。
 宮下愛さんってスクールアイドルが、ソロ曲では常に今日・明日の話をしてきたのに、そこにプラスして過去も大切にした感謝を言葉にしたことで、その愛情の大きさを強く感じたからですね。

未知なる道の先に 光り輝く未来
(めっちゃGoing!!)

今日もYou&I 明日もYou&I
(友&愛)

昨日、今日よりも明日をゆけ
(楽しいの天才)

ねぇ今日はどんなたのしーこと始めちゃおっか!
(サイコーハート)


 そういった過去から未来まで照らすキズナをテーマにした楽曲が、タイトルが『Eternal Light』なのは完璧すぎますよね。

③応援してもらう、だけじゃなくて、ありがとう

 

愛ちゃんのことは、これからも応援してるから

 


 悩む本心を吐き出した美里さんは、愛さんにそう言い残して去ります。
 『ファンとアイドル』の関係ならそれだけで良いですが、2人は『あなたとスクールアイドル』。
 Eternal Light前に愛さんが語ったように、貰ってきた楽しさを返すステージは、歩夢が侑に『あなたが私を支えてくれたように、あなたには私が居る!』と伝えた関係にも似ています。

でもね、実は愛さん、ちっちゃい頃は結構泣き虫の人見知りだったんだ。
でもお姉ちゃんがいつも笑いかけてくれて。
たくさん遊びに連れて行ってくれたおかげで、いっぱい友達も出来たし……だから今度は愛さんの番!

 


 と、同時に。
 『美里さん→愛さん』の関係からベクトル逆向きに楽しさを返すだけでなく、既に彼女は別の形でそれを広げていました。
 それは『愛さん→璃奈』のあなた関係。愛さんは璃奈にとっての”あなた”の立場も持っています。

どうしたの?

(上級生……怖い……)

怖くないよ〜!
なんかキミ、元気なさそうだったからさ

 


 あの時、表情を出せない璃奈の気持ちを愛さんが読めたのは、自分自身が過去に抱えた感情だから。
 自分を助けてくれた『あなた』の存在が背後にあって、過去の自分に似た状況で困ってる別の誰かの力にもなりたいって言う『あなたループ』が虹ヶ咲の中でも好きな現象なんです。

 スクスタの話にも広げれば璃奈はそのループを(ミアの声を受け取ることで)『璃奈→ミア』で先に繋げていますし、アニメでは悩むしずくに対する“あなた”のかすみの背中を押しています。
※追記:この記事を書いた数日後に2期9話が放送されました。璃奈からミアへのアプロ―チに愛さんから貰った想いが活きていて涙腺が逝きました。


 璃奈の『あなた』としての愛さんもある。

 だからこそ、『ツナガルコネクト』や『ENJOY IT!』での璃奈が成長する姿を見て、愛さん自身ももっとスクールアイドルをやりたいと言う気持ちになっていたはず。
スクスタだと璃奈が現地に来にくいファンのためにオンラインライブをやるエピソードがありますが、そのアナログハートに変わるステージを今回の美里さんへのライブとして愛さんが始めたのも良かった。

 アニメ1期最終話では璃奈から愛さんへ『恩返しがしたかった』と言う意識が少し見えていて、それに対して愛さんは笑って頭を撫でました。


 愛さんの価値観では『楽しさを璃奈に与えたんじゃなく、お姉ちゃんに貰ったものを別の誰かに繋げただけ』みたいなニュアンスだと思っているんですが。
 同時に、自分にとっての姉である美里さんへキラキラした気持ちを返すライブの直前になって、璃奈を見て改めて感じた部分もあると思います。

 自分に大切なものをくれた相手の力になりたいって意味では、この『璃奈→愛さん』のベクトルは過去の愛さん自身からのエールに近くて。
 応援してもらうだけじゃなくて『愛さん→美里さん』の方向に今度は楽しさを返すんだって覚悟に繋がってました。

 だからスクールアイドルとしての『仲間でライバル』だけじゃなく、あなたである美里さんの夢を今度は応援する番だって意味での『ありがとう』があの場所にあったと思います。

 

でも、それだけじゃなくて、ありがとう


 そして物語としては『愛さんと美里さん』『愛さんと果林』って仲間でライバル関係が成立した後に、最後の一線を引いてタイトル通りのTriangleを作ってエンディングとなりました。


 そんな風に、あの『ありがとう』の一言に、愛さんの周り・過去・未来・魅力が束ねて詰め込まれていたので、すごく大好きなシーンになりました。
 ※色んなシーンに飛んで話して情報過多になってしまったので、もしこの記事を読んで面白いと思われたら2期4話をもう一度見直してみたら、色んな発見があると思います。・

 これを受け取った私たちが、同じように貰ったキラキラした気持ちを返したり繋げたり出来るかも重要だと思うので。
 またこれからも楽しみながら愛さんのことを応援していきたいと思います。


 最後までお読みいただきありがとうございました。
 また次の記事でお会いしましょう。