トリスのメモ帳(46) サンシャイン!!のサントラがヤバい
こんにちは、トリスです。
今日はラブライブ!サンシャイン!!の数ある魅力のひとつである『サウンドトラック』について考えたいと思います。
『サウンドトラック』とは?
サンシャイン‼のアニメ内で、キャラクターが喋っているシーンの裏でBGMとして流れている音楽をここでは指しています。
劇中伴奏曲の略で「劇伴曲」や、オリジナルサウンドトラックの頭文字を取って「OST」、もしくは単純に「サントラ」などとも呼ばれています
広義では挿入歌もサウンドトラックに含まれるのですが、ここでは一旦Aqours歌唱曲を抜いたものをまとめて「サントラ」と呼びたいと思います。
ラブライブ!サンシャイン‼と言えばこのサントラの素晴らしさも大きな魅力のひとつなのですが、普通にアニメを見ているだけでは気付かない部分もたくさんあります。
「とは言っても所詮BGMじゃないの?」と思った方、お待ちください。
このサントラの魅力をしっかりと理解することは、AqoursのストーリーやAqours歌唱曲をより楽しむことにも繋がります。
今回はあまりサントラに詳しくない方や、サントラのアルバムを購入したけれどあまり聴いていない方に向けて、私が大好きな曲を紹介したいと思うのでぜひ最後までお付き合いください。
【目次】
- ①Main theme of Lovelive! Sunshine!!
- ②起こそうキセキを!
- ③海に還るもの
- ④Riko jump High!!
- ⑤舞い降りた奇跡・小さな奇跡
- ⑥FRIENDSHIP・素直になれなくて
- ⑦DETERMINATION
- ⑧一番大切なもの
- ⑨始まりの物語
- ⑩ONE FOR ALL ・ ALL FOR ONE
- ⑪私たちの輝きはそこに
- ⑫まとめ
①Main theme of Lovelive! Sunshine!!
はい、来ましたね。サントラと言えばこれですよ。
1期サントラアルバムのCMでも使われていたサンシャイン‼の顔とも言える音楽なので、耳に残っている方も多いと思います。
この楽曲と言えばAqoursのファーストライブの入場や、アニサマ等を始めとしたイベントでは「Aqours SUPER LIVE」の文字とともに使用されました。
個人的にこの曲はAqoursファーストライブで流れたNext Step! Project告知動画での使われ方がすごく好きなので、改めて確認してみましょう。
ちなみに冒頭流れている曲は一期でも使われたサントラ『Swingin' & Shakin'』です
作中で言えば1期13話ラストの「君のこころは輝いてるかい?」と叫ぶ砂浜で使われた他、2期12話の二年生がUTX前で話すシーンでも使われました。



このシーンでは1期1話のことを思い出して泣いた方も多いのではないでしょうか。
②起こそうキセキを!
はい、これも説明不要ですね。
2期1話ラストで使われるなど、感動的なシーンでも使われていますが、その特徴はいわば“2代目メインテーマ”とでも言うべき2期を象徴するメロディーです。
実際、2期を踏襲したセットリストの3rdライブツアーではオープニングテーマとして使用されました。
そして、このサントラのことを語るのであれば「キセキヒカル」の話は避けては通れません。2期Blu-ray最終巻特典「キセキヒカル」ですが、メロディーは『起こそうキセキを!』を基にして歌唱パートが加えられたものになっています。
ちなみに2期のOSTアルバム「Journey to the Sunshine」に収録されている曲の約8割がこのメロディーのアレンジであるほど、2期のAqoursの軌跡をそのまま音にしたような重要な一曲です。
そんな「起こそうキセキを!」ですが、アニメ内で使われたシーンは以下の3箇所です
・2期1話
千歌が目を覚まして浦女に走りだし、「起こそうキセキを!」という台詞を叫ぶシーン



・2期3話
Aqours9人が雨の中を学校説明会まで走っていくシーン



・2期10話
鞠莉の運転する車がスカイラインに向かい、夜空を走るシーン



これらのシーンには『Aqoursが走っている』という共通点がありますね。
『走る』というのはAqoursの物語ではかなり中心的な姿勢になっています。
例えばラブライブ!サンシャイン‼公式サイトののあらすじを見てみましょう。
諦めなければきっと夢は叶う――。
いまはただ輝きを目指して、がむしゃらに駆け抜けていこう!
また、この「起こそうキセキを!」がAqoursの曲になったキセキヒカルの歌詞も見てみると……
迷いに揺れるこころ
それでも前を向いて
やまない雨はないと走って来たよ
2期3話などのシーンを考えれば、キセキヒカルの歌詞で言われていることが強い説得力を持っているのが分かりますね。
そんな『起こそうキセキを!』ですが、2期1話での冒頭の『夢を飛ぶ紙飛行機』との対比が鮮やかであまりにも最高すぎるので、頼むからこれだけでも見ていってください。



ラブライブ!サンシャイン!! 2期 第1話 - YouTube
↑上のリンクを押すと1話冒頭の『夢を飛ぶ紙飛行機』のシーン(0:09~)に飛びます。
10秒ぐらい見たら下のリンクに移ってみてください。



ラブライブ!サンシャイン!! 2期 第1話 - YouTube
↑上のリンクを押すと1話後半の『起こそうキセキを!』のシーン(19:19~)に飛びます。
③海に還るもの
サントラはキャラクターが喋っているBGMとして使われたものだけではありません。
ストーリー内で実際に存在している曲や、キャラクターの耳にも届いている音として描かれているものが幾つかあります。



上の『メインテーマ』や『起こそうキセキを!』と違い、この『海に還るもの』は作中でも曲名が登場しているアニメ内に実在する曲です。
ちなみに2期2話で鞠莉が流した音源は『Mari's Rock Demo』という曲名です。
そんな『海に還るもの』ですが、やはりまず触れたいのはそのメロディーが『想いよひとつになれ』のサビのメロディーに形を変えて使われていることでしょうか。
ただし、実はこの部分のメロディー自体は『海に還るもの』ではなくもっと前から登場しています。
それが1期2話で梨子が千歌・曜と海に潜って聞いた「海の音」ですね。この音を聞いて『海に還るもの』を梨子が完成させたのですから、同じメロディーが使われていることは納得出来ます。
そんな作中ではざっくりと「海の音」と呼ばれている音ですが、実は2話で使われたサントラ自体のタイトルはまた別です。2話の海中で梨子が聴いた音楽のタイトルは『想いのかけら』です。
この音から組み立てた曲が、やがて『想いよひとつになれ』に繋がっていくことを考えると非常に面白いですね。
ちなみに余談ですが、1話で梨子が千歌と海に落ちた直後のシーンで流れている音楽は『想いは波に寄せられて』と言うタイトルです。



もしこれを読んでいる手元でサントラアルバムを流せる環境があるなら、是非聴いてみて欲しいのですが、この音楽はアニメ以外でもどこかで聞いたことがあるような気がしませんか?
実はこの音楽はAqours 2nd LIVE TOURにおいて『夏への扉 Never end ver.』の披露前にオレンジ色の照明演出と共に使われた音楽でもあります。
梨子が最初に「海の音」を探して海に飛び込んだ後に夕焼けの砂浜で流れたサントラから繋がった、この『夏への扉 Never end ver.』の歌詞を見てみると新しい意味が見えてくるかもしれませんね。
終わらない夏への扉 どこだろうね?
青い海へと 飛びこんで探そう
潜っちゃって探そう
個人的には梨子がスクールアイドルを始めるきっかけになった『ユメノトビラ』の歌詞も併せて考えてみるのも面白いと思います。
④Riko jump High!!
このサントラはアニメ内で梨子がしいたけに追いかけられるシーンなどで使われたのですが、多くの方はそれ以上に去年のファンミーティングにおいてライブパートの中間にリズムに合わせた照明演出と共に流れたことで強く記憶に残っているかもしれません。



ちょうど上で梨子とサントラの繋がりについて触れたので流れでこれも紹介したいのですが、タイトルの通り1期5話での梨子がベランダからダイナミック帰宅シーンが元になった一曲です。
……と、ここまでは有名なのですが、実はこの曲はよく聞くと他のあるサントラと同じメロディーラインが使われています。
それは1期1話の梨子が海に飛び込むシーンで使われた『桟橋のソナタ』ですね。
興味がある方はぜひ聴き比べてみてください。



ラブライブ!サンシャイン!! #1 輝きたい!! - YouTube
↑上のリンクを押すと1期1話で『桟橋のソナタ』が使われているシーンに飛びます。
ちなみにその直後に使われているのが『想いは波に寄せられて』です
素朴なピアノの『桟橋のソナタ』と、激しくロック調な『Riko jump High!!』に共通するメロディーがあるのは、なんだか大人しい一面と激しい一面を併せもった梨子を象徴しているようで面白いです。
⑤舞い降りた奇跡・小さな奇跡
サントラアルバムには加藤達也氏(サンシャイン‼の音楽担当の方)によって書かれたコメントが収録されています。そこでは1期と2期にそれぞれ2つずつ軸となる“テーマメロディー”があることが明かされています。
その合計4個のテーマメロディーはたくさんのシーンに合わせてアレンジされ使われながらも、その中心にあるAqoursの存在をしっかりと強調しています。
そのひとつが1期におけるAqoursのテーマ…『Main theme of Lovelive! Sunshine!!』です。(この記事内では単に『メインテーマ』と呼んでいるメロディーですね)
そして、このメインテーマが2期に入って一歩進んだものが『起こそうキセキを!』になります。
それを踏まえた上で1期1話のサントラの組み方を見直してみましょう。
先ほど2期1話での『夢を飛ぶ紙飛行機』・『起こそうキセキを!』の鮮やかな対比を確認していただきましたが、実は1期1話にも同じようにメインテーマのアレンジ2種類の対比が冒頭とラストにあります。
冒頭で使われた『舞い降りた奇跡』と、ラストで使われた『小さな奇跡』
タイトルも対比になっていますが、そのメロディーについても確認してみてください。



ラブライブ!サンシャイン!! #1 輝きたい!! - YouTube
↑上のリンクを押すと1期1話冒頭で『舞い降りた奇跡』が使われているシーン(0:19~)の直前に飛びます。



ラブライブ!サンシャイン!! #1 輝きたい!! - YouTube
↑上のリンクを押すと1期1話後半で『小さな奇跡』が使われているシーン(21:15~)の直前に飛びます。
いかがだったでしょうか。
『舞い降りた奇跡』の方はメインテーマアレンジであることが『小さな奇跡』に比べて分かりづらかったかもしれませんね。
ここでは意図的にリンク開始部分を『舞い降りた奇跡』・『小さな奇跡』よりも少し前に合わせたのですが、どちらも直前のサントラが同一のものになっています。
ちなみに梨子が教室に入ってくるシーンで使われているのは『桜色の風』です。
そしてお察しの通り、1期1話のこのシーンで使われている『舞い降りた奇跡』は2期12話の曜と共にUTX前まで走るシーンで流れた『Main theme of Lovelive! Sunshine!!』と相互アレンジの関係になっています。
2期12話を初めて見た時に1話との対比に驚いたのは作画だけでなくサウンドトラックという目に見えない部分の効果もあったわけですね。



1期1話では駅よりもゲーマーズ側に残っていた曜と、2期12話では一緒に走っていくところもエモいですね。
⑥FRIENDSHIP・素直になれなくて
先ほどサンシャイン‼には1期と2期にはそれぞれ2個の軸となるテーマメロディーが存在すると書きました。
ラブライブ!サンシャイン‼の根幹となるこれらのテーマを一言で表すならば、「輝き」のテーマと「友情」のテーマだと思います。
1期では「輝き」の『Main theme of Lovelive! Sunshine!!』と、「友情」の『FRIENDSHIP』が登場しました。
これが2期に進むと「輝き」の『起こそうキセキを!』と、「友情」の『ONE FOR ALL』『ALL FOR ONE』に変化していきます。
図で表すと上のような形になります。
その中でも1期の「友情」の『FRIENDSHIP』はアレンジに人気が高い曲がいくつか含まれます。



特に1期9話で果南と鞠莉がハグをするシーンで使われたサントラ『素直になれなくて』はキャラクターの感情に合わせて音量が大きくなり、感動が波のように押し寄せてくる演出で印象に残っていると思います。
この『素直になれなくて』ですが、あからさまに3年生を意識したシーンで使われているのですが、ひとつひとつ説明すると僕の涙腺が保たないので下の画像を参照してください。怖いもの知らずは実際に確認して泣いてください。
・2期3話



・2期6話



・2期8話



・2期10話



・2期12話



ここで聖良も同じ3年生として含まれているのがポイントですね。
実は、1期8話冒頭でAqoursより先にSaint Snowがステージに立つ際にも『素直になれなくて』が使われています。
『ラブライブ!サンシャイン!!』9話感動シーンのBGM - YouTube
ちなみにこれと対比になって1年生によく使われているサントラを強いて挙げるならば『FRIENDSHIP』だと思います。主な使用シーンは以下になります。
・1期4話



・1期5話



・2期9話



・2期10話



こちらも理亞が1年生としてカウントされています。
もっとも、『FRIENDSHIP』については単純に使われている回数が多いので(合計で9回)、1年生だけのものというイメージはあまりありませんが…。
また、これはあまり言及されませんが『キセキヒカル』の間奏部分には『FRIENDSHIP』のメロディーがかなりしっかりと使われています。
⑦DETERMINATION
さて、上で『FRIENDSHIP』を紹介しました。
この『DETERMINATION』もまたそのアレンジのひとつなのですが、今この2曲を流せる環境にある方はぜひ聴き比べてみてください。
続けて聴けばすぐに分かるのですが、この2曲は『DETERMINATION』が途中からドラムが入ってくるかどうかを除けば、聴きなれていても判別しにくいレベルで同一の音源が使われています。(厳密に言うと途中からの低音で聞き分けが可能ですが…)
『DETERMINATION』は『決意』を意味する言葉ですが、この二種類のサントラの関係として『FRIENDSHIP』が前に進んだのが『DETERMINATION』だと考えるのが一般的です。
メンバーの加入シーンや日常的なシーンでも多く使われる『FRIENDSHIP』に対して、『DETERMINATION』は挿入歌の前のシーン……それも1期のAqoursにとって大きな一歩となるライブシーンの直前で使われています。
使われたのは1期11話と13話です。



2期でも継続して使われた『FRIENDSHIP』と違って、1期のこのふたつのシーンでしか使われなかった『DETERMINATION』はいわば、その時期のAqoursのような“期間限定”なサウンドトラックでした。
特に1期11話はサントラ好きからの評価が高い回で、『FRIENDSHIP』に始まり『DETERMINATION』に終わるサントラの構成が「想いよひとつになれ」のもつ意味の強さを補強しています。



さらにこれも余談になりますが、11話冒頭の梨子を見送るシーンの『FRIENDSHIP』はサントラアルバムCDにも収録されていないこの回限定のアレンジバージョンになっています。
具体的にはメインのメロディーラインをピアノが取っているアレンジなので、梨子の『決意』に繋がっていく『友情』のテーマと考えるとすんなり納得出来ると思います。
⑧一番大切なもの
さて、この『一番大切なもの』も『FRIENDSHIP』のメロディーアレンジのひとつで、非情に人気の高いサントラです。
そんな人気の理由として、アニメ内で使われているシーンの展開とタイトルが見事に一致していることが挙げられます。
初めて使われたのは1期9話冒頭、二年前の果南と鞠莉が部室で話しているシーン。
アルバム収録された音源で言えば、このサントラは0:47まで静かに音を重ね、0:48から強く盛り上がって進んでいくような構成になっています。
(上のリンクで言えば1:00からがそれにあたります)



しかし、1期9話冒頭での『一番大切なもの』は最初の47秒間しか使われていません。せっかくのサウンドトラックの盛り上がる部分が使われていないわけですね。
挿入歌で例えるならばAメロとBメロだけでサビに入る直前で切っているような状態なので、サントラ視点で見るとどうしても消化不良というか、気持ち悪さが残る使い方です。
そこで、9話の続きを思い出してみましょう。
鞠莉と千歌たち6人は、黒澤家でダイヤの口から果南の2年前の真実を聞かされます。
ここで流れだすサントラがあります。
花火大会に向けて、新しい曲作って、ダンスも衣装も完璧にして……
なのに……
心配していたのですわ。
あなた、留学や転校の話があるたびに、全部断っていたでしょう?


1期9話はラブライブ!サンシャイン‼の中でも珍しい1話の中で同じサントラが2度流れる回です。
2年前と同じ『一番大切なもの』が流れる中で、果南がどういう想いでスクールアイドルをやめたのかを知った鞠莉。
サントラが流れて48秒後、上で“サビ”に例えた盛り上がる部分で、2年間知らずにいた真実を前にして鞠莉は言います。
ぶん殴る!
そんなこと、一言も相談せずに……!
ちゃんと伝えていましたわよ?
あなたが気付かなかっただけ
たしかにダイヤが言うように、果南は2年前から鞠莉に伝えていました。
果南にとって一番大切な存在が鞠莉であることを。


9話冒頭で一度使われながらも、鞠莉が気付かなかった果南の一番大切なものを2年越しに鞠莉が知るシーンで再び使われていることがこのサントラが人気な理由です。
この後に上で紹介した『素直になれなくて』のシーンに繋がるので、確認する際にはぜひハンカチかティッシュを忘れずにご用意ください。
またこれも余談なのですが、『素直になれなくて』終盤のダイヤ加入シーンで流れている部分は『Main theme of Lovelive! Sunshine!!』のアレンジになっています。



友情のテーマである『FRIENDSHIP』メロディーアレンジの『素直になれなくて』が、Aqours9人揃うシーンでメインテーマに変わっていく様子は、サントラに注意して観ると非常に快感なので是非それもチェックしてみてください。
⑨始まりの物語
「フィルムスコアリング」という言葉をご存知でしょうか。
劇中伴奏曲として使われる音楽は基本的に、先に作ったものをアニメ内のシーンに合わせて貼り付けています。しかし逆に、アニメの作画に合わせてそこで使う劇伴音楽を後から作曲する手法もあります。これをフィルムスコアリング……略してフィルムスコア呼びます。
サンシャイン‼のサントラはこのフィルムスコアで作られた音楽が多かったそうですが、中でもこの『始まりの物語』はフィルムスコアで無ければあり得ない魅力が詰まったシーンでした。
この『始まりの物語』が使われたのは1期13話の「MIRAI TICKET」前です。



ファンの間ではミュージカルとも呼ばれているシーンですが、そんなこれまでのAqoursの物語を振り返る後ろで4分以上にわたって流れていたのが『始まりの物語』です。
「って言ってもどんな音が流れていたっけ?」と思う方も居るかも知れないのですが、下の千歌のステップ部分は強く記憶に残っているのではないでしょうか。


これが1話の千歌と曜が淡島に着いたシーンの「よっ、ついた!」と同じポーズであることは有名ですが、このシーンの「タタタタンッ!」というカスタネットの音も実は既に登場している音です。
アニメ内だと確認し辛いのですが、1期6話で使われた『アクション!』というサントラに出てくるのと近いカスタネットの音が使われています。
そんな記憶にも残る千歌のステップと後ろの音がリンクしたシーンですが、この音は効果音ではなく『始まりの物語』のサントラの一部です。フィルムスコアならではのキャラクターの動きと完全にシンクロした効果音のような音楽の付け方ですね。
そしてこの『始まりの物語』の最も面白いシーンは、そのシーンに合わせた「音」を付けていることだけではありません。
そのシーンに合わせた過去のサントラをアレンジして付けていることです。


例えば花丸の加入シーンを振り返った部分を見てみましょう。
オ、オラ……私、運動苦手ずら……だし……
この部分で裏で鳴っている「テンテンテン、テンテンテン、」という音はどこかで聞き覚えがありませんか?



これは1期4話の冒頭や後半のシーンで使われた『夢見る文学少女』のアレンジです。
(1期9話と同じように4話の『夢見る文学少女』も同じサントラが2度使われている珍しい回です)
ちなみにこの『夢見る文学少女』は1話の花丸初登場シーンでも実際に使われています
ラブライブ!サンシャイン!! #1 輝きたい!! - YouTube
↑上のリンクで1話の花丸初登場シーンに飛びます。
1期を総括するシーンなので言うまでもありませんが、『Main theme of Lovelive! Sunshine!!』と『FRIENDSHIP』のメロディーは当然どちらもアレンジして使われています。そして、過去サントラからのアレンジはそれだけではありません。
他には梨子のセリフに合わせて流れた『海の音を探して』や、『輝きを目指して』などがアレンジされながらもかなり近い形で含まれているので、ぜひ確認してみてください。


『海の音を探して』は2話で使われたサントラです。


『輝きを目指して』は8話で使われたサントラです。
Aqoursのこれまでを振り返る『始まりの物語』は、サントラの目線で見ても重要な要素が詰まっているわけですね。
⑩ONE FOR ALL ・ ALL FOR ONE
2期の「友情」のテーマとして上で挙げた『ONE FOR ALL』『ALL FOR ONE』についてここでは触れたいと思います。
『ONE FOR ALL』が使われた場所として印象深いのはやはり2期6話です。



3rdライブツアーでもアニメダイジェスト映像でこのサントラが使われ、その直後に「MIRACLE WAVE」が披露されるという再現がされました。
『ONE FOR ALL』の小さく消えていくようなアウトロと、「MIRACLE WAVE」のいきなり強く始まるイントロの対比が美しいですね。


ちなみにこの回前半の3年生が話しているシーンで使われたサントラ『あの頃の忘れ物』は、これをアレンジしたものです。



この『ONE FOR ALL』が使われているシーンとして他には2期11話や13話があります。どちらも「友情」にスポットライトを当てたシーンなので、分かりやすい音楽の付け方だと思います。
・2期11話



・2期13話



2・3年生の「友情」シーンを紹介したので、1年生のそういったシーンで『ONE FOR ALL』のメロディーが使われている場面を紹介します。
2期9話「Awaken the power」の面接シーンです。



使われたのは2期6話前半と同じ『あの頃の忘れ物』です。
ダイヤとルビィの過ごした時間を考えるとぐっと来るタイトルになっていますね。
⑪私たちの輝きはそこに
最後に一曲、私が最も好きなサントラを紹介させてください。
2期13話「私たちの輝き」で使われた『私たちの輝きはそこに』です。
これについては2期サントラアルバム『Journey to the Sunshine』のコメント部分で加藤達也さんも触れています。
2期もホントに毎話毎話が見せ場で、ダビング現場のプレビューで毎週感動して見ていましたが、最終話13話ではAパート・Bパートでそれぞれ4分を越えるフィルムスコアリングがあり、物語の最後を飾る長いシーンをどのように演出するかすごく悩みました。
しかし千歌ちゃんたちAqoursの面々の姿に引っ張ってもらいながらとても美しくそして感情的な音楽をつけることが出来たと思います。
ここで加藤さんが言っている最終話での2種類のフィルムスコアリングというのが



Aパートでの梨子の海に還るものを弾くシーンから最後の門を閉めるまでで使われた『ありがとう、そしてサヨナラ』と



そしてBパートの千歌が紙飛行機を飛ばすシーンから「WONDERFUL STORIES」までで使われた『私たちの輝きはそこに』です
そしておそらくですが、これを読んでいる方の多くがこの2曲をアニメ最終話以外の場面で聴いたことがあると思います。
実はこの『ありがとう、そしてサヨナラ』が3rdライブの「WATER BLUE NEW WORD」と「青空Jumping Heart」の間に流れた新規アニメーションで流れていた音楽だからです。
楽屋で話すAqours9人の会話に涙した方も多いと思いますが、その理由のひとつにこのサントラには『Main theme of Lovelive! Sunshine!!』『FRIENSHIP』『起こそうキセキを!』のメロディーがアレンジして含まれていたこともあるかもしれません。
また、この『ありがとう、そしてサヨナラ』と『私たちの輝きはそこに』の4分越えフィルムスコアリング2連続という挑戦的な試みの背景には、1期最終話での『始まりの物語』の存在があります。今までのサントラを束ねて、Aqoursのミュージカルシーンにフィルムスコアでしっかりとつける段階を踏んだからこそ、2期最終話はサントラまで含めてものすごく豪華な24分間になっているわけです。
さて、そして『私たちの輝きはそこに』を見てみましょう。
この曲は『起こそうキセキを!』のメロディーアレンジです。
3rdライブでは「WATER BLUE NEW WORLD」披露後に暗い会場にこのサントラが流れ始め、Aqoursの居ないステージだけでなく客席全体を照明で照らしていく演出がありました。
ライブに参加した方の多くがこのサントラが流れ終わった後には、思わず拍手してしまったのではないでしょうか?
本来ライブで拍手が起きるはずがない、あえて乱暴な言い方をすれば「CD音源を流して照明演出しているだけ」の場面で自然と拍手が起きたのは、あの時に会場にいた全員がサンシャイン‼の音楽の魅力を改めて実感した瞬間だったからだと思います。
そんな『私たちの輝きはそこに』は、最終話では千歌が紙飛行機を追いかけてもう一度浦女へと走り出す場面で使われました。



これは、同じ千歌が浦女に向けて走るシーンで対比していた1期1話の冒頭と後半の2場面の続き、というわけですね。使われているメロディーも共通しています。


『起こそうキセキを!』は、メロディーアレンジされたものを含めれば2期の中で30回以上使われています。
だからこそ、千歌たちの2期の物語を思い出せばいつもその裏ではその音が響いていたからこそ、最終話の千歌の言葉が強く響いてきます。


泣かないって決めたよね、千歌……
どうして思い出しちゃうの……
どうして聞こえてくるの……
どうして……どうして……!



普通な私の日常に、突然舞い降りた奇跡
何かに夢中になりたくて
何かに全力になりたくて
脇目も振らずに走りたくて
でも、なにをやっていいのかわからなくて
くすぶっていた私の全てを吹き飛ばし、舞い降りた
それは……その輝きは……!
自然と思い出してしまって聞こえてくるのは、Aqoursみんなとの思い出の声。
ですが、ある意味で『起こそうキセキを!』もまた2期を楽しんだ視聴者にとって、自然と聴こえてくる音という点では共通しています。
だからこそ、ここから繋がる体育館での千歌のセリフは「キセキヒカル」によってさらに意味が付加されました。
なにもかも一歩一歩
私たちが過ごした時間の全てが、それが輝きだったんだ
探していた私たちの輝きだったんだ
『起こそうキセキを!』は2期の「輝き」のテーマメロディー。
それと共に走り続けた千歌たちのキセキはたしかに輝いていました。
↑上のリンクを押すと、沼津で活動されているインストアレンジグループ「おとぬま」さんのコンサートで『私たちの輝きはそこに』が演奏された部分に飛びます。
ちなみに場所は「想いよひとつになれ」の聖地でもある沼津市民文化センターです。
⑫まとめ
……と、ざっくりと私の好きなサントラについて紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
サントラアルバムをまだ買ってない方も、これを読んでもし興味が出たら買ってみることをオススメします。11月に行われる4thライブのタイトルが1期サントラアルバムと同じ『Sailing to the Sunshine』なのも何か関係があるのかもしれないですし、楽しみですね。
今回紹介したのはほんの一部なので、ぜひ実際に聴いてみて新しい魅力を探してみてください!
では、今回はここらへんで。
ラブライブ!サンシャイン‼に素晴らしい音楽を付けてくれた加藤達也さんと、今回素晴らしい演奏動画をお貸し頂いたシューっとさん・はみさん・おとぬまの方々にお礼を言って終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
そして、最後まで読んでくださった方もありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。