トリスのメモ帳(47) 企画『LOG book』を振り返って

こんにちは、トリスです。

これまでやっていた企画『LOG book』が一段落したので振り返ろうと思います。

 

・企画『LOG book』とは

ラブライブ!サンシャイン!!劇伴音楽担当の加藤達也さんに、ファンからの劇伴感想を集めて本にして送ろうというもの

 

 

※この記事は主に、参加者の方、未来の自分、そしてこれから何かしらの近い企画をやってみようかな…?と思っている方に向けたものになります。

 

①そもそも企画のスタートは?

 

企画のスタート地点がどこだったか、ということから見ていきたいと思います。

 

詳しくは省きますが、ラブライブ!サンシャイン!!というアニメは劇伴が素晴らしく、今年5月にそのメロディーをアレンジした歌唱曲『キセキヒカル』が発表されました。

今回の企画はそれに感動した自分が「加藤達也さんに感想を送ってみたい!」と考えたことから発展したものです。

※・・・アニメ内でBGMとして流れている音楽で、ここではボーカルが入っているものを除きます

 

ここで企画に対する私のスペック(?)を見直してみましょう。

 

ラブライバー

・イラスト・楽器・写真・画像加工などの趣味・経験無し

・企画経験無し

・そもそもどうやって製本するのかすら分からない

・文章はブログを書いているが、始めて一年も経ってない

・ファンレターすら送ったことが無い

・フォロワー800ぐらいのアカウントで友人はそこまで多くない

・デザインセンス・知識無し

 

と、並べて分かる通りに無能です。

企画をやる上で求められる基準があるとすれば、その殆どを満たしていないとしか思えません。ただ唯一、劇伴やラブライブ!を好きだという想いについてはあったので、今回の企画に挑戦してみることにしました。

 

最初は自分ひとりでファンレターを書いて送るつもりだったのですが、全てを書こうとすると手紙ではなく本の形が相応しい文量になると考えていました。

 

 

 
約半年前にフォロワーの方がとある声優さんの誕生日にファンからの文章を集めて製本して送る企画をされていたので、そこから他のファンの方を巻き込んだ今回の形を思いつきました。

 

②本の内側と外側

 

この半ば無謀とも言える企画ですが、自分一人でも製本して感想を送りたかったので他の参加者が0人でも企画としては問題がないことも大きかったです。

 

まず直面した問題は表紙・デザインで、これについては努力しても自分ではどうにもならない範囲だと割り切っていました。もしも文字だけの表紙になったとしても加藤さんに感想が届けば最低条件はクリア出来ると思ったので、needよりもwantに分類していました。

 

結果的にもともと何かあれば手伝うと言ってもらえていた知り合いの方にお願いする形で、デザインの問題は解決しました。イラストについてはお金で発注出来る部分だと思っており、劇伴ファンの友人でイラストが描ける方がいたのでその方にお願いしました。これで本の外側については概ね心配がなくなりました。

 

続いての問題は本の内側です。これもどなたかデザインの方にお願いすることを考えたのですが、デザイン知識がなくとも内側のフォント等については自分でこだわりたい気持ちと、あまり他人任せなのも…という気持ちから自分で挑戦してみることにしました。

 

上に書いた製本企画をされていたフォロワーの方にお話を伺ったり、自分自身で調べてみたりして製本手段も決定しました。

似た企画をされる方のために記しておくとRED TRAIN社のONE BOOKSサービスを利用しました。

オリジナルグッズ・同人誌印刷 株式会社RED TRAIN

他サイトと比べても製本にかかる期間は約2週間程度です。

(当然ながらお金次第で1日で作れるサービスもありますが、入稿ミス等で時間が無くなった時以外は使わないで保険にしました)

 

③スケジュールを決めよう

 

さて、作る手段の見通しがついたので、次はこの企画がどのぐらいの期間・規模で出来るものなのかを考えます。

11月に東京ドームで劇伴アルバムと同じ「Sailing to the Sunshine」というタイトルのライブ開催が決定したのも今回の企画の動機のひとつでした。なので、加藤さんの手元に11月中旬までに届くことを目標としました。

 

加藤さんの所属する株式会社アップドリームに問い合わせ、郵送先を確認しました。

ここで指定された場所に送ってから加藤さんの手元に届くまでのラグが不確定要素だったので、余裕をもって10月中の発送を目標にしました。2週間あればアーティストの手元に届くだろうという希望的予想でした。

 

先述の通り製本に2週間かかるので10月末に発送するためには10月上旬~中旬には入稿する必要があります。

ここから本文編集作業の時間としておそらく一ヶ月はかかることを考えると〆切は8月末~9月上旬に設定しました。

企画の立ち上げが6月下旬なので、感想を募集する期間は2ヶ月以上取れます。スケジュール的にも現実的だと考え実行に移しました。

 

④文量が分からない

 

さて企画が初めてなので、ここで大きな壁にぶつかります。

それは“他の参加者の方が書いてくる感想の文量が分からない”という事です。

これについては個人差がかなりあると思いますが、普通に好きな曲の話をする時はツイート一回分(140文字)に収まることが多いと思います。しかし、そこに自分の体験などが挟まると感想の文量はどんどん大きくなります。

 

と言うわけで今回は1人20個まで・1個につき1000文字までという条件で募集開始しました。(後からこの条件は緩和されました)

 

感想を1個以上書いた参加者は34名で、102の楽曲に対して568の感想がつきました。感想数で見ると5〜10個提出の方が最も多いのは予想通りで、次に多く見られたのが30個代だったのが意外でした。

 

参加者:感想執筆34名+デザイン担当+資料製作協力

楽曲数:102曲

合計文字数:11万字

感想数:568個

平均感想数:14個

平均文字数:200文字

 

備考として102曲全てに僕自身が感想を書いているので、それを除いた33名の平均個数を14個と記載しています。

 

これに参加者全員の自己紹介などを含めた15万文字・260ページが最終的な文量になります。これはイメージとしてはハリーポッターと賢者の石」0.7冊分ぐらいのボリュームです。

この全ての文章を読みやすい形で配置し、フォント調整し、誤字をチェックするのが編集作業です。はっきり言ってここが一番キツかったです。

1週間で終わらせてやる!ぐらいのやる気で取り組んで一ヶ月以上かかりました。

 

編集については一通り自分でやった後に編集補助の方にチェックして頂く形を取りました。編集補助は劇伴について知識があって内容的なミスにも気づける方にお願い出来たので有難かったです。

 

⑤スケジュールを守るために

 

スケジュール管理は大きな課題でした。

最初の時点で私は、製本の都合から250ページ前後を想定していましたが、もし最初に集めた感想が多すぎる場合には2冊に分けた形で届けることも考えました。逆に少なすぎる場合にはページ数を減らすか、もしくは参加者の方にお願いして追加で募集するかになる予定でした。

どちらにしても最初に想定したスケジュールとは全く別の作業が入ることになるので、参加者の方々から集めた感想でページ数250前後にならない場合には苦しくなります。

 

ちなみにこれは自分自身の分の感想執筆作業を後に回すことで解決しました。

ページごとの切れるタイミングを調整しなければいけなかったので、そのページの余白を潰す(もしくは余白に合わせて感想を絞る)形で感想を書きました。

最終的な文量の2割程度が自分だったのでこれに関してはかなり柔軟に文字数を調整出来て楽だったと言えます。

 

また、これは別に参加者の方の問題ではないのですが、基本的にこういった企画の期限は全員が完璧に守るということはあり得ないと思っています。

それは単純に書くのを忘れていて…などの理由ではなく、書いているうちに新しい面白さに気付き、書き足したくなることによるものです。

 

とは言え、感想が集まらなければ編集作業に入れません。

例えば1ヶ月かかる編集作業で、参加者の1人だけ提出が3週間遅れた場合には、その方の感想を3週間遅れで前半に差し込むと、3週間かけて編集したそれ以降のページの切れ目は全てズレていきます。

 

もちろんこの例で0.6ページ分の感想を受け取った場合には、次のページに書かれている私自身の感想を0.6ページ分削るか0.4ページ分足すことで解決することは出来ます。しかし、楽曲によってはその両方が難しい場合がありました。

そういった理由もあって、参加者の方々には早めの提出をお願いしていました。

 

これに近い企画を今後される方は

①感想を早く集めるための進捗確認などの作業

②感想がギリギリまで受け取れない場合も想定したスケジュール管理

③感想が集まらなかった場合にもそれに対処出来る手段

の3種類を用意しておくことが大切かと思います。

 

私の場合は②③は不十分だったのですが、参加者の方々の協力があって編集作業に時間をしっかりと取れたことが大きかったと思います。

 

先述した私が参加者側で関わったフォロワーの方の製本企画の際には、前日に書き始めて〆切ギリギリに提出した立場なのですごく有難かったです。

 

⑥編集、死す。デュエルスタンバイ!

 

はい、ここまで編集作業がスケジュール的に間に合ったような書き方をしてきましたが、間に合いませんでした。具体的に言えば誤字チェックの時間が満足に取れなかったのです。

 

実はここでも参加者の方に助けて頂きました。

加藤さんに送る本のデータを参加者に公開するのは郵送後の予定だったのですが、この時点で完成している仮データを参加者の方々に公開し、誤字脱字を発見次第教えて頂く形を取りました。

私1人で34人分の誤字を見直すのは難しかったのですが、34人が自分の分の文章を見直すのはかなり現実的な対策でした。

ここで誤字をあらかた訂正することが出来ました。

 

ちなみにこの場を借りて謝らせて頂きたいのですが、参加者の方々にチェックして頂いた後に書き足した「企画 あとがき」の文章にて私は誤字(日本語的におかしい助詞)をしています。これは製本後に気付いてしまったのでそのままの形で加藤さんに送りましたが、申し訳ありませんでした。

 

⑦入稿で瀕死、ミニログブックの製本

 

この話は今初めてするのですが、製本業者への入稿作業で3回失敗して4回目でようやく入稿出来ました。

他の同人誌即売会イベントがあるので、製本業者の都合で入稿時期に関わらず完成日は決まっていたので、自分で解決しましたがこの時は結構焦っていました。

 

 

これよりも数日遅れてですが、なんとか入稿完了。

ちなみにここで言われているMINI LOG bookというのは参加者の方々に記念に配布する小冊子でした。これの編集作業は当初の予定に全く入っていなかったので、完全にキャパを越えた仕事でしたが、参加者の方々に何かしら恩返しになることをやりたいなと思って急遽製本しました。

企画『LOG_book』 参加者の方へ 感謝を込めて - トリスのメモ帳

 

片手間に2週間程度で作ったものなので中身のクオリティは本物よりも若干落ちます。

紙質をチェックする時間的余裕もなかったので、表紙の発色がかなり濃くなってしまっていますね。

 

 

 

⑧LOG book完成 そして…

 

 そしてMINI LOG book完成の約一週間後にLOG bookが完成しました

 

 

これを私が受け取ったのは11月2日の金曜日で、翌日ラッピングして午後には郵送しました。この荷物が指定された住所に届いたのが日曜日の夜になります。

 

「ここから2週間以内に加藤さんの手元に届くことを祈るしかない…」と、考えていました。

 

2日後…

 

 

 

 

予想以上に早く加藤さんの手元に届き、呟いて頂けたことで安心しました。

もともと素晴らしい音楽というものを受け取った私たちから、感想を今回のような形で届けることが出来て本当に良かったです。

 

 

⑨今回の企画から

 

まず、今回の企画に参加してくださった方々にお礼を言わせてください。

最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。

参加者の皆さんの想いのこもった文章があって加藤さんにもああして喜んでいただけましたし、皆さんの協力がなければ完成していなかったと思います。

 

今回の企画を通して私自身も劇伴についてさらに深く知る機会になりました。これは参加者の方の多くもそうだと思います。そして、受け取った加藤さんにも喜んでいただけました。

こうしたWin-Win-Winの結果で(どこかのラジオみたいな響きになりました)企画を終えられたことはひとまず成功と言っていいかと思います。

たくさんの人の想いを集めて届けることを、やって良かったと自分でも思えました。

 

今回この企画から私が学んで、この企画を見守ってくださった方々にもひとつ伝えたいのは「やりたいからやってみる」ことの大切さだと思います。

 

ここまでに書いたように今回の企画は、企画など全くやったことが無い人間が思いつきで始めた「ファンレターの延長線上」のものでした。

 

ラブライブ!サンシャイン!!という作品は主人公の千歌たち普通の少女が「輝きたい!」という純粋な欲から成長して前に進んでいく物語です。

 

一番大切なのはやりたいかどうかだよ!

 

そこから受け取った輝きが、また誰かの新しい一歩の勇気になることを祈っています。

 

ただの普通怪獣の私にも出来ました。

それはきっと、これを読んでいる誰もが出来ることの証明になったと思います。

その勇気は誰の胸にもあると思います。

f:id:pleaselllast:20181108154616j:plain

 

P.S.

ある方のご厚意で、加藤さんの音楽の感想をまとめたこのLOG bookを沼津仲見世のとあるお店に置いて頂けることになりました。

この本が沼津地元の方や、サンシャイン!!ファンの方が劇伴音楽により深く触れるきっかけになれば嬉しいです。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。