トリスのメモ帳(17) さぁ、普通怪獣の着ぐるみを脱いで One More Sunshine Story 考察
試聴動画の公開された『One More Sunshine Story』について考えてみました
①BD特典曲とは
アニメのBlu-rayディスクが発売された時にそれに付属するCDに収録される楽曲を、ここではBD特典曲と呼びます(厳密にはDVDでもついているので円盤特典曲ですね)
一期のBDでは、学年で三曲とAqoursとしての曲を四曲という形で付けていましたね
ラブライブは全十三話なのでアニメの円盤は全七巻が基本
この「7」という数字に対して全てのキャラの出番が均等になるようになっているのが一期の特典曲の付け方だったと言えるでしょう
ですが、先日の第一巻の特典曲の試聴動画公開
それと同時に発表された情報は私たちに驚きを与えました
二期の円盤の中で三巻分に付属されるCDにはソロ曲を二曲ずつ収録することが発表されました
これによって六巻まででAqoursメンバー全員のソロ曲が発表できます(最終巻は九人曲になります)
私はこれを全てのファンが満足できるように調整された良い答えだと思いました
その一番手として発表された曲は『One More Sunshine Story』
続く八個のソロ曲への期待も高めるようなハイクオリティの楽曲
具体的にどうすごいのかを次から記していきます
②伊波杏樹のメロディー ミュージカルの世界へようこそ
まず強いインパクトを受けたのが曲調です
幕が上がるようなイントロ
歩き出すようなAメロは、少しずつ速くなって駆けだしていくような印象を与えます
Bメロでは一度テンポを下げてのびのびと歌い上げるような姿を思い浮かべ
そして挟まれる千歌のセリフ『特別な輝きが欲しい!』
サビでは観客も巻き込んで楽しくなっていく冒険への期待が見事に曲の中に――歌詞だけではなくメロディーで表現されています
この曲の本当にすごい所は『高海 千歌』という一人の人間を描くとともに『ラブライブ!』というシリーズの世界観を描きつつ、その根底には『伊波 杏樹』というキャストの存在とそのバックボーンが活きているという点です
伊波さんがどういう経験でどういうスキルを得てきた方なのかということは、私よりもこれを読んでいる皆さんの方が詳しいと思うので省きます(ここでは一言でまとめられない伊波さんの武器の一部について『表現力』という言葉で書かせていただきます)
この『One More Sunshine Story』が伊波さんの表現力への信用がなければ成立しない曲であることは覚えておきたいですね
1stライブにて、Aqours9人で十三話を再現したいわゆる“ミュージカル”
あれが楽曲同様にライブを盛り上げる要素であったことは間違いありません
そこで見た伊波さんのそういった表現力を前面に押し出すような時間がもっと欲しいと思っていたのも自分だけではないでしょう
3rdツアーで見るのが本当に楽しみな一曲となっています
余談になりますがイントロにはOST『Mainthema of Lovelive! Sunshine!!』の要素が隠れているように感じました
具体的な箇所は見つからなかったので説明しにくいのですが、空気の盛り上げ方とでも呼ぶべき根本のニュアンスが近いと思います
ある意味ではメインテーマが『Sunshine Story』の始まりでもあったので、この曲がそれと対応していれば面白いですね
③高海千歌の歌詞 普通怪獣に特別な輝きを
前の章ではキャストとメロディーを考えたので、ここからはキャラと歌詞の話をします(毎回このブログは歌詞の話しかしてない気がしますね…)
これからどうなる?
胸をKnock Knock叩く夢
叶う気がして 駆けだしたら
ついに『Knock』という単語が千歌にも出てきましたね
この動詞は基本的に『扉』と対応していると思うのですが、千歌がスクールアイドルを始めてみようと本気で思った曲のタイトルが『ユメノトビラ』であることを考えると相応しいですね ※1
『駆けだしたら』という歌詞は一話アバンの千歌のモノローグや今までの様々のセリフとも重なりますね
何かに夢中になりたくて
何かに全力になりたくて
わき目もふらずに走りたくて
でも、何をやっていいかわからなくて……
次なる世界が 君とDance Dance始まるさ
予感と期待の熱いハーモニー
これはいくつか前の記事で書いた『世界』の話とも被るのですが、MIRAI TICKETで歌われている『僕たちだけの新世界がきっとある』という歌詞に繋がっていきますね
輝きたいって願いがいつか
より大きくなってたよ
ふとしたきっかけから形の見えない夢を追いかけるうちに、その夢と想いが大きくなっていくというのはラブライブ!のテーマのひとつですね
「特別な輝きが欲しい!」
二期六話放送直後にこれを入れてくるというのもなかなか卑怯な感じがしますね
六話では普通怪獣が最期を迎えたわけですが、そこで出てくる千歌の心の底で願っていた“想い”をここでセリフの形で入れてくるのは……
普通怪獣の着ぐるみを脱いだ少女の歌う『純粋な欲』と言ったところでしょうか
④高海千歌と伊波杏樹の曲 新たなStoryへ
One More Story 新たなStory
追いかけてる時は
ああ 笑顔が止まらない
この『Story』という単語について考えます
『One More Sunshine Story』というタイトルは過去のとある曲の歌詞から貰っています
はじめたい! My Story
青い空が待ってる
はじまった時の Sunshine Story
ときめきずっと大事にね
アニメ一期OP『青空Jumping Heart』ですね
ですが、面白いのはこの青空Jumping Heartもとある曲からこの『Story』という単語をもらっています。それは…
奇跡それは今さ ここなんだ
みんなの想いが導いた場所なんだ
だから本当に今を楽しんで
みんなで叶える物語 夢のStory
思えば一期序盤の千歌の口癖『キラキラしてる』『奇跡だよ!』はどちらもこの曲から受け取ったものとも言えます
つまりここで言われている『Story』とは『みんなで叶える物語』のことだと思うのですが、その上で千歌は“Sunshine”のStoryをはじめたいと言っているあたり一期十二話での成長を感じさせますね
ここで言っている新たなStoryはサンシャインのCD帯などでもたびたび言われている『新しいみんなで叶える物語』でしょう
なので、『新たなStory』は千歌の視点から作られた歌詞と言えます
ですが一期十三話ラストで千歌のモノローグでこう語られます
叶えてみせるよ 私たちの物語を
この輝きで!
これに対して、1stライブでは伊波さんのMCで言われた言葉は以下だったと思います
叶えてみせるよ 私たちの物語を
この輝きと……応援してくれる皆で!
十三話での千歌の言葉は、酒井監督からキャスト9人にインタビューした言葉から少しずつ拝借して構成したことが明かされています
私はこの『私たちの物語』という言葉は伊波さんの言葉だったのかもしれないと予想しています
彼女が『みんなで叶える物語』をどれだけ大事にしているかは想像に難くないし、その上でこの宣言を見直すと考えさせられるところがありますね
なので『新たなStory』は千歌だけではなく伊波さんの視点から作られた歌詞でもあるかもしれません
One More Story 新たなStory
待ち受けるのは誰?
ああ ドキドキしたいから さあ行こう
この歌詞を見て思い出したのは一期OPのこのカットです
μ’sの背中を目指して追いかけ始めた物語が、今は千歌自身の物語になっています
ならばこの先にあるのは十二話で言われた『千歌だけの景色』
高海千歌と伊波杏樹がいつかあの最高の自分というシルエットにたどり着くまで、サンシャイン!!の物語は止まることはないと信じさせてくれる一曲でした
今からBD一巻の発売と『One More Sunshine Story』が待ち遠しいですね
⑤補足と関連項目 他
※1 ちなみに『Knock』という歌詞は『真夏は誰のモノ?』でも使われています。あれもラブソングだけでなくμ’sにスクールアイドルへの火をつけられた黒澤姉妹の曲として聴くと面白いですね
こちらが試聴動画です
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