トリスのメモ帳(64) 高咲侑の『オート自己否定』から始める物語

こんにちは、トリスです。

虹ヶ咲アニメの放送が開始。

次回は早くもクライマックスへと向かい始める10話となりました。

ここまで9話連続で各メンバーの挿入歌を含む個人回という驚きの展開。

でも、そのメンバーの順番が事前に予告されていたことである意味『覚悟を決める余裕のあるアニメ展開』としてやってきましたね。

ですが、それもここまで。

10話からは推しの活躍でどの視聴者が死ぬかも、生き残る視聴者が居るかも不明な、弾数の分からないロシアンルーレットが始まります。

でも、個人回を『あるメンバーが軸になって成長する回』と定義するなら、まだ個人回を経験していない同好会メンバーが1人居ますよね?

今回はそのキャラについて、これまでの物語を見つめていこうと思います。

ぜひ最後までお付き合いください。

 

 

⓪イントロダクション

 

時にライバルとして、時に仲間として、
それぞれの想いを胸に日々活動するメンバーたち。

「夢を追いかけている人を応援できたら……。」

9人と1人の少女たちが紡ぐ、
初めての「みんなで叶える物語」。

 

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届け!ときめき――。

いままた夢を、追いかけていこう!

 

①はじめに(主人公ではなく『あなた』)

 
ここまでの9人の物語の隣で描かれてきた『高咲侑』の欠片を拾っていく前に、彼女が立っている場所をスタートラインから見直させてください。

※前記事を読んだことある方は飛ばしていただいて大丈夫です。


アニメ時空の『あなた』として

高咲侑はそもそもアニメの中に『あなた』として生まれてきたキャラクター。

主人公とは少し違う立場で一番大切なものは『視聴者からの共感』ですね。

虹ヶ咲アニメ1話を見た時の印象を見直します。

まず彼女を好きになった理由は、熱い部分とか明るい部分以上に少し『擦れている』ところへの共感です。

純粋さを奪われつつある彼女の純粋なトキメキだからこそ、私たちが応援したくなる物語だと思いました。

その『擦れてる』感覚は色んなシーンから。

例えば、きっとトキメいて取ろうとしたのに取れなかったぬいぐるみ(挫折)をネットオークションで見た時の話(トキメキに値段を付ける行為)をしていたり。

例えば、100%ではないトキメキの中で毎日を過ごしてきたり。(ピンとこない映画でも適当に見ていたり)

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熱くトキメいても、現実的な理由で打ち砕かれることに慣れてる彼女。

スクールアイドル同好会が廃部になった時、せつ菜に会わずに諦める姿にも共感したんです。

そんな状態は私たち現代のオタクが少なからず知っている感情。

だとすれば、彼女を『あなた』と認めて応援したくもなります。

そんな彼女を2話以降見てきて感じたことを語らせてください。

 

②心と言葉の距離が近い人


まず彼女の話し方について見ていきます。

ここまでの物語を見てきた中で、彼女の話し方って徹底してインタビュアー気質なんですよね。言い換えると、会話を自分自身の話だけして終わらせないようにしているってこと。

あははは。ちなみに2人はどう?

 本当にそれで良いの?

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それと同時に。

想っていることを素直に言葉に出す一面もあります。

これって他人に訊いてくインタビュアー気質とは一見真逆なんですけど、彼女は両立させて会話を回しているんですよね。

本当に辞めたいのかな……

どうしてそう思うの?

皆さんはどう思いますか?せつ菜ちゃん辞めてもいいんですか?

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なんだかこの話し方は各メンバー目線で見ると『自問自答』の範囲に見えて、各メンバーも彼女のことをもう1人自分として見る気がするんですよね。

それこそ『あなた』なんじゃないのかな、と。

あと細かい部分で見ると、1話の中だけでも侑は4回『ありがとう』って言ってるんですけど、ここも彼女を素直に言葉を出せる人として見ている理由かもしれません。

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普通は思っててもそんなに『ありがとう』って言えないですよね。

そんな彼女だからこそ、6話で璃奈の吐露した想いに『ありがとう』って返した時もしっくり来ました。

 

③変わらない部分、変わった部分


実は、物語が進んできたことで、侑自身が成長したと言う感覚はあまりないんですよね。(個人の偏見なので逆の意見の方も居ると思います)


彼女はレベルが上がる主人公じゃなく、最初からレベルが多少高いお助けキャラみたいな感覚で。言うなら物語の中心にいるNPCのパーティメンバーなんです。今はまだ。

でも成長ではなく変化という事なら?

それなら、してない部分もしてる部分もあると思うので見てみましょう。

変化していない部分としては、8話で遥が出てきたシーンを見てみると…

だって、あの東雲学院だよ!

都内でも有名なスクールアイドル部に期待の1年生現るって、ネットでも話題なんだから!

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なんとなく1話のぬいぐるみネットオークションの時を思い出しますが、侑はネットをそこそこ見てるんですね。

自分のトキメキを物差しにするタイプの彼女がネット(他人の評価)もチェックするのはアニメ的には不思議なんですけど、現実世界でネットを見ていないオタクは存在しないのでリアルなんです。

逆に変化が感じられたシーンなら。

私、スクールアイドルやめる…!

どうして!

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1話のせつ菜がスクールアイドル辞めたことを知った時と真逆の反応。

あの時は、夢を追いかけることは難しい=スクールアイドルをやめてしまうのには本人なりの理由があっただろうから追求しないスタイルだったんですが、おそらく3話の菜々との会話を通してスクールアイドル(夢を追いかけること)に対する価値観が変化したんじゃないでしょうか。

夢を追いかける誰かが他人事じゃなくなったような。

 

あとこれは妄想の議論なんですけど。

高咲侑って1話の初日夜にCHASE!の動画にコメントしてると思いますか?

これはどっちのパターンでも面白いと思います。
 

いいよね、CHASE!

動画とか見てたの?

あっ、そうだ。CHASE! の他にオススメの動画あったら教えてくれない?
探してるんだけど全然見つからなくって~

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侑がコメントしていたとしても、せつ菜の性格的に3話音楽室シーン直後までコメント欄は見てないと思うのでタイミング的に見逃してそうです。

でも、侑がコメントしていないパターンも考えられるんですよね。だって大多数のオタクは好きなものに対してでもコメントしたりしないから。

リアルなあなたとしては後者の方がありえそうかもしれません。

 

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貴方はどう思いますか?

 

④オート自己否定型トキメキ発見機


さて、筆も温まって来たので今回の本題に移っていきましょう。彼女の内面の話です。
 

ここまでの侑の言葉に極端なポジティブもネガティブも感じなかったんですよね。

なんか印象が薄いというか、普段聞いてるような言葉ばかりな気がして。
 

ただやっぱり明るいキャラクター(※架空人物の意味ではなく人格の意味)ではあると思うんです。彼女の言葉を思い出してみましょう。

悩んでるかすみんも可愛いよ!

ラブライブ!みたいな最高のステージじゃなくても良いんだよ

せつ菜ちゃんの歌が聞ければ十分なんだ

私、璃奈ちゃんのライブ、見たいな。

 
各メンバーのことを肯定してくれる高咲侑の言葉は見ていて気持ちが良いですね。

では、次に彼女が自分について語ってきたシーンを見直していきます。

侑ぴょんのほうが可愛いんじゃない?

それはないぴょん

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1話のシーンでは自分の話になった途端すっと冷める感覚が不思議だなぁと思ったんです。2話に進んで見てみます。

侑せんぱ〜い、見る目ありますねぇ〜!

えぇ、そうかな?
誰が見たって可愛いよ。

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このセリフ。

かすみの価値を保証するセリフなんですけど、逆に侑自身に特別な見る目があるわけではないって否定してる構図にもなるですよね。

良い先輩としての面が出ていた2話でも微妙な自己肯定感の低さが見えていましたし、4話では彼方に褒められた時も反応はハッキリしたものではありませんでした。

多分、やりたいことが違っても大丈夫だよ

上手く言えないけどさ 自分なりの一番をそれぞれ叶えるやり方って、きっとあると思うんだよ

 

侑ちゃんもすごいね

え?

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どこかに見える気がしていた無意識の影。

そして6話、璃奈の編集した動画を見るシーン。

これ、編集りなりーでしょ?

うん。侑さんにアイディアたくさんもらった。

えへへ。大したこと言ってないけどね。

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この流れるような謙遜が自然すぎて苦しくなる。自分にも覚えがある口調だから。

侑がネガティブなキャラだって言ってるわけじゃなくて、明るいからこそ無意識のやんわり自己否定がルーティンになってるような感覚は辛いんです。ここらへんは過去に何かあったのかも分からないので妄想は後述します。

でもそんな侑が褒められて謙遜しなかったシーンもありますね。

それは自分じゃなくて自分たちが褒められたシーンです。

今日、見てみてどうだった?

あ、はい。お姉ちゃんも皆さんも楽しそうでした。
それぞれの個性にあった練習もあって…素敵な同好会ですね!

本当、嬉しいなぁ~

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 謙遜しないのは同好会を信じているからで間違いないんですけど、彼女自身が他の9人と自分の立場を同列として見れているかも気になりますね。

高咲侑のことが大好きだからこそ、スクスタと違って部長でも無くて応援するマネージャー立場を、彼女自身をどこまで肯定出来ているか、が。

 

⑤高咲侑の音楽に関する妄想


音楽に関する妄想を始めます。
彼女の設定が発表された時に驚いたことは幾つかありますが、そのひとつに『普通科生徒』というものがあります。スクスタ時空では音楽科の『あなた』が作曲をやっているので、アニメでは誰が作曲するのか謎です。

しかし、普通科で今作曲が出来なくても、今後出来るようになる可能性はあります。

アニメ内でも彼女が音楽方面に興味を見せているシーンが幾つかあるので、もしそうなった時に伏線になりそうなシーンを見返しておきましょう。

問題なし!むしろプラス!

せつ菜ちゃんの歌聞きながら勉強したら、すっごく捗ったし、今日の小テストもバッチリだった!


歌によって日常的に貰うパワーみたいなのを知ってることは、オタクとしてめちゃめちゃ頷けますね。

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高咲侑さん、音楽室の使用許可は取ったんですか?

いやぁその~…ごめんなさい!

あっはっは、ちょっと引いてみたくなっちゃって…

でも初めてだと、全然ダメですね…


3話はやはり彼女の内面を知る上で大切な回。

侑には『スクールアイドルとしてステージに上がりたい』欲求はないのに、『好きなものだから弾く』の方はあるんですね。

TOKIMEKI発生ポイントが一律じゃない彼女を見ていて、スクールアイドルを直接応援するため以外で『やりたいからやった』シーンって意外と少ないです。
 

この前、ライブやっててね…すごかったんだよ~
せつ菜ちゃんの言葉が、胸にズシンって来たんだぁ
歌であんなに心が動いたの、初めてだった!


侑にとってのTOKIMEKIは『言葉』

その言葉が響くのは優木せつ菜のパフォーマンスあってなのは前提ですが、その作詞・作曲というステージは侑にとっての夢になり得ます。
 

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ダンスミュージックにロックにポップス、それにスクールアイドル。

本当に色んな音楽が集まってるんだね!


虹の魅力は『音楽の幅広さ』

良い意味でスクールアイドルらしく無くて、どんな曲調が飛び出すか分からないのでこのイベントと虹ヶ咲は非常に合ってますね。あと9話のDIVER FESラストの侑のシーンはセリフが無いのに挟まれてるので重要な感じがするんですよね。

この多種音楽で盛り上がる人達を眺める侑が何を感じたのか。妄想するだけならタダです。
 

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…と、ざっくり音楽関係シーンを見返してみました。ここまで見てきた印象としては、侑が作曲方面に進むかは半々です。

でも、1話アバンの台詞を思い出して願うのは、アニメ内でTOKIMEKI Runnersを披露するなら彼女作曲・作詞で生まれてほしいということですね。
 

生まれたトキメキ

あの日から世界は、変わりはじめたんだ!

 

⑥高咲侑の夢に関する妄想


次回以降のどこかであると信じている高咲侑の妄想を続けます。

実はこのアニメで最初からずっと不思議に思っているのはあらすじです。

あらすじは侑のセリフも引用されて彼女の目線で書かれていますが……
 

「夢を追いかけている人を応援できたら……。」

9人と1人の少女たちが紡ぐ、

初めての「みんなで叶える物語」。

届け!ときめき――。

いままた夢を、追いかけていこう!

  

この『いままた』ってなんですかね?

わざわざ『みんなで叶える物語』の前に初めてのって付けてるのも不思議な感じしますよね。

そう言えば、前にNEOは『既にあるものの新しい形』って意味でNEWと違うなんて話も出ていました。虹ヶ咲の曲の歌詞を見直してみます。

トリスのメモ帳(55) ゆっくりと、走る、この道で (NEO SKY, NEO MAP! 感想) - トリスのメモ帳

夢見て 憧れて

また夢が見たいんだ

夢のバトン 繋いでいくんだ

何度も何度でも 始めようよ

 

これがもしも彼女の目線ならどんな背景があるんでしょうか。

そもそも私たちは彼女について深くは知らないですよね。キズナエピソードとかソロ楽曲が一切ない彼女はまさしくブラックボックスそのもの。

それこそOPで彼女が座ってる椅子や、裸足でいることも意味が見えてくるかも知れませんね。(※見えてこないかも知れない)

 

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あ、特に考察とか無くワクワクしてるだけなので適当に喋っています。

でも1話のあのセリフを信じるなら多分彼女には過去の大きな挫折とかはあっても"静かな"ものだと思うんですよ。リアルが過ぎる。
 

自分の夢は、まだないけどさ。

夢を追いかけてる人を応援できたら、私も、何かが始まる。

そんな気がしたんだけどな。


あと殆どのメンバーにとってエンディングで映ってる場所が鍵になっていることを考えると、侑にとっては部室が重要なのかも。

でもそれは、部室って場所で何か起きると言うよりも虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会と言う居場所がテーマなのかもしれませんね。

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もうここまで話が寄り道しまくってるので、さらに足します。

侑の部屋に物が少ないのが不思議なんです。

前に欲しがってたぬいぐるみもそうですが、侑の部屋なら物が溢れていてもおかしくないんですが殺風景な部屋で。

もちろん作画カロリーもあるけど、1話ではベランダ逆側の壁が映らなかったので昔のトキメキとかが詰め込まれた押し入れとかがあれば面白いかもと思いました。

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リアルなオタクなら昔トキメいた何かを捨てたりするんで、侑がそれならそれでリアリティと受け取りますけど。

なんかそこは彼女なら捨てないって信じたいんですよね。捨ててたら辛すぎて泣いてしまいかもしれない…………ってこれは妄想の話なんですけど。

彼女の部屋に押し入れなんて無い可能性のが高いですし。

でも、深く明かされてない今だからこそ彼女を勝手に妄想して感情移入するオタクの余地があると思います。

きっとここまで話した妄想だって、読んでいる貴方にとっては別の『高咲侑』が見えていると思うんですよね。

だから、この鏡みたいなキャラクターを通して、色んな人が描くラブライブ!像そのものが見えてくるんじゃ無いでしょうか。その楽しさが待ち遠しいんです。

 

⑦最後に

 
と言うわけで、今回はまだ個人回も来てない・来るかもわからない高咲侑について喋り倒しました。

8割私自身の妄想だったので、これを読んで何か思いついた妄想があれば教えて欲しいです。
 

でもさっき侑のことを鏡に例えましたが、純粋な彼女をこんなに傷付いて歪みながら笑ってる人間のように私から見えるのは、私のレンズが傷付いて歪んでるからだと思っていて。

でもその歪みがなければ楽しめないですよね。

虹ヶ咲の同好会メンバーが全員同じソロ曲歌ってたら3話で見るのやめてるじゃないですか。(それはそれで超面白そう)(めっちゃ見たくなってきた)

そういった個性は短所でも肯定することは虹ヶ咲から教わりました。

彼女に対する私の共感が正しいのか。逆に勘違いなら、自分と違う彼女からは受け取れる何かがあるはず。可能性の宝庫です。


だからこの先の物語も楽しみがたくさん!
ということで、今回の記事はここらへんで。

最後まで読んで頂きありがとうございました。 

また次の記事でお会いしましょう。